善福寺公園めぐり

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陰陽の剣の戦い SHADOW/影武者 

チャン・イーモウ監督の「SHADOW 影武者」観る。

 

日比谷のシャンテで観たが、座席がとても座りづらい。

イスの背もたれがかなり後ろに傾斜していて、体を沈めると寝ながら観るような格好になる。

ところが、背もたれは首ぐらいまでしかなくて首を持ち上げながら見ないといけないので、だんだん疲れてくる。

同じ系列のTOHOシネマズ新宿の座席は、とても座り心地がよくてグーなのに・・・。

 

それはまあともかくとして、三国志」のエピソードにヒントを得て、影武者の存在をクローズアップさせた歴史アクション映画。

戦国時代の中国。弱小の国・沛は領土の一部を奪っていった強大な炎国と休戦同盟を結び、屈辱の思いのまま何とか平和を甘受していたが、領土を奪い返すことを主張するのが同国の重臣・都督(軍司令官のこと)だった。

都督は炎国の王であり最強の武人としても知られる楊蒼に手合わせと称して戦いを挑もうとしていたが、重い病を患っていて自分では戦えない。

実は都督は自分そっくりの子どもを見つけてきて育てていて、その子が成長したため特訓によって技を授け、自分の「影武者」として楊蒼と戦わせようとしていた・・・。

 

白と黒を基調とした水墨画の世界、そして叩きつけるような雨。その中で対決するのが陰と陽の剣。

荒々しい剣を振るう炎王・楊蒼の剣が陽なら、都督の影武者が振るうのは陰。何と鉄でできた傘を使った回転式剣で、女性のようなしなやかな体の動きから発する必殺の剣だった。

クルクルと鉄の傘を回しながら進む傘軍団や、舞うように戦う陰と陽の剣のアクションシーンは圧巻だった。

 

中国の人気俳優ダン・チャオが都督と影武者を一人二役で演じるが、影武者が筋肉隆々の肉体美なら、都督はゴホゴホと咳する老人の体。この役のためダン・チャオは20キロもやせたという。

おかげで風貌から何からまるで別人で、とても同一人物が演じているとは思えないほど。だったら別の俳優がやってもよかった気もするが・・・。

 

影武者といえば、黒澤明監督の題名も同じ「影武者」を連想させる。

そういえば降りしきる雨の中での対決も黒澤の「七人の侍」と一緒だ。

黒澤の「影武者」は、やはり戦国時代に盗人だった男が武田信玄の死後、信玄の影武者として生きる運命を背負わされて、その心の葛藤を描いていて、最後は悲劇で終わるが、チャン・イーモウの「影武者」は、やはり影武者の苦悩を描いてはいるが、まるで違う結末を迎える。

このあたり、日本人と中国人の国民性というか、考え方、感じ方の違いがあるような気もした。

だからおもしろいんだけども。