善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ボロジノ娘

けさのNHKニュースを見ていたら、「島の3人娘が地元の中学を卒業して旅立っていく」と、沖縄の南大東島の話をとりあげていた。

南大東島那覇からさらに飛行機で1時間の太平洋にぽっかり浮かぶ小さな島。人口は1400人ほど。この島で、「ボロジノ娘」として活躍している民謡グループがある。ボロジノとは、今から190年前の1820年、ロシアの艦船ボロジノ号がこの島を発見。「ボロジノ・アイランド」と名づけてヨーロッパの地図に記されたことにちなんでつけられたという。

民謡が盛んで、県内いたるところに三味線屋と民謡教室がある沖縄のこと。南大東島にも民謡教室があり、そこで唄三味線を習う小・中学生の民謡グループがボロジノ娘。(何でも彼女らはすでにCDデビューを果たしていて、「夢は大きく民謡歌手」という歌で2004年ラジオ沖縄新唄大賞のグランプリを受賞しているとか)。

島には高校がない。進学する子どもたちは親元を離れ、沖縄本島などに住むしかない。ボロジノ娘のうち3人が今年の春、中学を卒業する。卒業に向けた民謡の練習風景が紹介され、そこで歌った歌の1つに「アバヨーイ」というのがあった。

「アバヨーイ」とは「さようなら」。15の春に旅立つ子どもや家族、島人の思いを歌っているという。「アバヨーイ」で「さようなら」といえば、昔の言葉に「あばよ」というのがあった。「あばよ」の語源を調べると、「また逢わばや・・・」とか「按配よろしく・・・」の略語とかいわれているが、いずれにしろ古い日本語を語源としている。

沖縄は離島であるがゆえもあって日本の古い言葉を今に残しているといわれる。「メンソーレ」の「ソーレ」は「候(そうら)へ」が語源といわれるし、地名でも、沖縄本島南部の「東風平」は「こちんだ」と読むが、「東風吹かば」の「こち」である。
ボロジノ娘が歌う歌には「おじゃりやれ」というのもあった。「おじゃりやれ」とは「いらっしゃい」の意味だそうだ。そういえば日本の昔の言葉に「おじゃる」というのがあり、「『お出である』が転じた言葉、つまり『いる』の敬語」とかいわれるが、相手をうやまって「おじゃりませ」という言葉が「おじゃりやれ」となったのだろうか。

話は変わるが、以前から食べたいと思っているのが南大東島名物の「大東そば」。木を燃やした灰からとった灰汁(あく)を使ってアルカリ処理をし、おいしくつくるのが伝統的な沖縄そばだが、「大東そば」はガジュマルの木灰と島の石灰岩(何しろ珊瑚礁の島だから石灰岩は豊富)を細かく砕いてそばに練り込んでいるという。那覇にも「大東そば」の店はあるが、石灰岩までは入っていないといっていた。星降る夜、ボロジノ娘の歌を聴きながら「大東そば」が食べたくなった。