善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

歌舞伎十八番の内 鳴神

きのうは国立劇場で開かれている「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」。
はじめに澤村宗之助による「歌舞伎のみかた」の解説があって、いよいよ本日のお目当て、歌舞伎十八番のひとつ「鳴神」。

「鳴神」は、2年前の正月に新橋演舞場海老蔵鳴神上人を見たことがあり、今回で2回目。前回のときは通し狂言で、海老蔵が1人5役をやるというので話題になった。
今回は「北山岩屋の場」のみの上演で、鳴神上人片岡愛之助、雲の絶間姫に片岡孝太郎
愛之助がと~ってもよくて、がぜんファンになりました。

お話は、変成男子(へんじょうなんし)の行法を使って、女子として生まれるべき天皇を男子として生まれさせ、その褒美として戒壇設立が許されるはずだったのに、取り消されたばかりか洛中からの追放の憂き目にあい、怒った鳴神上人龍神を滝壺に閉じ込める秘法を行い、国中雨を降らなくしてしまう。困った朝廷は、絶世の美女、雲の絶間姫を差し向けると、姫の色香に迷った上人は、ついに秘法の破り方を明かしてしまう・・・。

愛之助って、上方歌舞伎ホープで、イケメンで、とは聞いていたが、こんなにいい役者とは知らなかった。出てきたときは先代の仁左衛門の若いとき(といったって、若いときのことはよく知らず、たぶんそんなだったろうという想像だが)にそっくりで、とても様子がよくて、口跡もはっきりして耳に心地よい。

海老蔵のときはまだ若さが随所に出ていたが、愛之助は落ちつきがあって、安心して見ていられた。愛之助の鳴神初演はケガで休演した海老蔵の代役で、たった1晩の稽古だけで見事に代役をつとめたという。
歌舞伎界の次代の期待は海老蔵とか染五郎菊之助とかいわれるが、いやいや愛之助がいます!

相手役の孝太郎もよかった、というか、うまい。鳴神と雲の絶間姫とのやりとりでちょっぴりエロチックなところもあるのだが、孝太郎が上手にリードしていた。

とてもわかりやすい芝居で、社会人向けにはぴったりだったろう。