新宿ピカデリーで公開中のスペイン・アメリカ・フランス合作映画「43年後のアイ・ラヴ・ユー」を観る。
2019年の作品。
原題は「Remember Me」
監督・脚本マーティン・ロセテ、出演ブルース・ダーン、カロリーヌ・シロル、ブライアン・コックスほか。
ブルース・ダーン84歳、カロリーヌ・シロン71歳、ブライアン・コックス74歳で演じる恋の物語。
妻に先立たれ、一人気ままな老後生活を送っていた70歳の元演劇評論家クロード(ブルース・ダーン)は、ある日、昔の恋人で人気舞台女優だったリリィ(カロリーヌ・シロル)がアルツハイマー病を患い、介護施設に入ったことを知る。
43年前、「さよなら」もいえずに別れたっきりのリリィにもう一度会いたい、今も愛していると伝えたいと、クロードは大胆すぎる計画を思いつく。それは、親友のシェーン(ブライアン・コックス)の協力を得て、アルツハイマー病のフリをして彼女と同じ施設に入居することだった。そして、“奇跡”は起こる・・・。
登場人物はそれぞれに悩みを抱えていた。
クロードは、一人やもめ暮らしをしているが、カリフォルニア州の副知事をしている娘婿の売春スキャンダルが許せず、本当は娘と孫娘と一緒に暮らしたい。娘の娘セルマは、夫のスキャンダルに悩む一方で、一人で暮らす父を心配している。孫娘タニアは、浮気した父を許せず、恋心を抱く同級生の男の子に思いを伝えられないでいる。
そして、リリィは、アルツハイマー病のため自分が舞台女優だったことも、クロードのことも、まるで記憶にない。
リリィの記憶を呼び戻し、クロードも含め家族にひとときの幸せをもたらせたのは、クロードの“ウソ”と、ガーシュウィンの曲と、シェイクスピアの「ハムレット」、そして「冬物語」だった。
ガーシュウィンの曲は「Embraceable You」というスタンダード・ナンバーのひとつ。
「抱きしめたくなるくらい愛しい人、ぼくを抱きしめて、かけがえのない大切な人・・・」と歌っている。
「ハムレット」のセリフは「星の燃ゆるを疑えども・・・わが愛を疑うなかれ」というオフィーリアのセリフ。
「冬物語」は、リリィがかつて舞台で、葛藤する王妃ハーマイオニを演じたロマンス劇だった。
これだけ材料が揃っていれば、結末はきっと泣けて、観る方も幸せな気持ちになる。