イタリアの赤ワイン「キュソラ・シラー・メルロ(CUSORA SYRAH MERLOT)2020」
写真中央手前はスペイン料理の「ポーリョ・コン・アホ(pollo con ajo)」。骨つき鶏を丸ごとのニンニクと一緒にオリーブオイルで揚げる。
イタリアのワインとスペインの料理。同じ地中海ということで・・・。
シチリアの伝統的なワイナリーであるカルーソと最新テクノロジーを導入して投資するミニーニの共同経営によるワイナリー、その名もカルーソ・エ・ミニーニのワイン。
シラーとメルロを半々ずつ使用。シラーや樽由来のスパイス系の香りと、メルロのコクと滑らかさが絶妙に混ざり合ったエレガントでバランスのとれた味わい。
お昼に食べた手作りピザ。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカ映画「オープニングナイト」。
1977年の作品。
監督・脚本ジョン・カサヴェテス、出演ジーナ・ローランズ、、ベン・ギャザラ、ジョン・カサヴェテス、ジョーン・ブロンデル、ポール・スチュワートほか。
先日観た「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」(1976年)に続くカサヴェテス監督作品。
自らの老いを自覚しはじめた舞台女優が、新作舞台の初日を迎えるまでの葛藤を描いた人間ドラマ。
舞台の名女優マートル(ジーナ・ローランズ)は演出家ヴィクター(ベン・ギャザラ)や俳優モーリス(ジョン・カサヴェテス)ら気心知れた仲間たちと新作に取り組んでいた。
ある夜の公演後、群がるファンをかき分け進むマートルに抱きつく熱狂的ファンらしい一人の少女。「アイ・ラヴ・ユー」を連呼しながら引き離された彼女は走り出すマートルの車を見送り、対向車に跳ねられ即死する。
以来、マートルは精神に変調を来たし、酒の量も増え、死んだ少女の幻覚を見るようになる。そしてついに新作舞台の初日の夜、開演までに戻るという言葉を残して行方をくらませたマートルは・・・。
「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」を観てカサヴェテス監督のファンになった。
独特のカメラアングルが光る。
その前に観た「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」はドキュメンタリーふうだったが、本作ではやけに役者のアップが目立つ。大女優の老いをテーマにしただけに、女優のシワを見せたかったのだろうか。
映画の中でマートルが取り組んでいた新作が「セカンド・ウーマン」というタイトルであるのも皮肉っぽい。若かった自分である「ファースト・ウーマン」と年老いた自分である「セカンド・ウーマン」とを対比させているようだ。
映画の最後が凄まじい。
行方知れずとなり、観客でいっぱいになった劇場では開始時刻になってもマートルはあらわれない。
ようやく戻ってきたものの、彼女は酔いつぶれ、泥酔した状態で何度も転倒してしまう。心配した周りの人は助けようとするが、演出家のヴィクターは「助けちゃだめだ」と止める。
マートルは這うようにして楽屋に行き、化粧をし、付き添いに支えられながらも舞台の袖に立ち、ついに一人で歩いて観客の前にあらわれる。
そして舞台では、マートルとモーリスがおそらく戯曲にない即興劇のような芝居を始めるのだが、これはひょっとして映画でも即興だったかもしれない(何しろマートルの相手役のモーリスを演じたのは監督で脚本家のカサヴェテス)。
結局、女優は、演じることによって、そこで自分を見つめ、老いを克服(別のいい方では共存)するのだった。
ついでにその前に観た映画。
1999年の作品。
原題「OCTOBER SKY」
監督ジョー・ジョンストン、出演ジェイク・ギレンホール、クリス・クーパー、ローラ・ダーン、クリス・オーウェンほか。
のちにNASAのロケット・エンジニアになったホーマー・ヒッカムの自伝をもとにした映画。
1957年10月、ソ連が人類初の人工衛星スプートニクの打ち上げに成功した。ウエスト・ヴァージニア州の炭坑の町コールウッドで、その美しい航跡を見ていた高校生のホーマー(ジェイク・ギレンホール)は、自らの手でロケットを打ち上げたいと級友3人とともに「ロケットボーイズ」という開発チームを結成し、本格的なロケットづくりにとりかかる。
将来はロケット技師になるのがホーマーの夢だったが、この町で生まれた者はだれもが炭鉱夫になるものと信じ、自身も炭鉱で働く父はそんなホーマーを理解できず、2人は衝突する・・・。
高校生たちのロケットづくりをさまざまな大人たちが支えていた。炭鉱内の工場で働く溶接工や旋盤工、そして高校の女性教師ミス・ライリー。彼女は高校で化学と物理を教えていて、ホーマーに科学フェアに出場するようにいい、優勝すれば奨学金で大学に行けるようになると励ますが、ホジキンリンパ腫というがんのため31歳で亡くなる。
そして、最初から応援してくれた母親、最後には父親。
人は人との出会いや支えの中で成長していくことを教えてくれる映画。
1996年の作品。
原題「THE JUROR」
監督ブライアン・ギブソン、出演デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、アン・ヘッシュほか。
彫刻家アニー(デミ・ムーア)は11歳の息子オリヴァー(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)と暮らすシングルマザー。対立するマフィアのドンとその孫を殺した容疑に問われたライバルのマフィアのボス、ボファーノを裁く法廷にアニーは陪審員として出頭することになる。
やがて美術品のバイヤーを自称する男マーク(アレック・ボールドウィン)が彼女に接触してくるが、彼はボファーノの組織が雇った“ティーチャー”と呼ばれる殺し屋だった。
アニーは、無罪の票を投じなければ彼女もオリヴァーも命がないと脅される・・・。
デミ・ムーア、アレック・ボールドウィン、2人とも若い。
この映画のときデミ・ムーア34歳、アレック・ボールドウィン38歳。
1999年の作品。
原題は「GIRL,INTERRUPTED」
監督ジェームズ・マンゴールド、出演ウィノナ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー、ウーピー・ゴールドバーグほか。
17歳のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は大量のアスピリンを服用して病院に運び込まれ、両親の勧めで精神科の病院に入院することになる。
そこで彼女は、虚言癖のあるジョージーナや顔に大きな火傷跡があるポリー、鶏肉と下剤しか口にしないデイジー、そして病棟のリーダー的存在であるエキセントリックなリサ(アンジェリーナ・ジョリー)と出会う。
それぞれ心に闇を抱える彼女たちと交流を深めていくうちに、いつしか病棟に居心地の良さを感じるようになるスザンナだったが・・・。
原作は1994年に出版されたスザンナ・ケイセンによるノンフィクション「思春期病棟の少女たち」(草思社刊)。境界性人格障害と診断され18歳で精神科病棟に入院させられた著者が自らの体験を綴った回顧録で、病棟で出会った少女たちの素顔を生き生きと描き、全米ベストセラーとなった。
この本を読んだウィノナ・ライダーは、自身も十代で精神科の病院に入院した経験があることから激しく心を揺さぶられ、映画化権を買い取って製作総指揮を買って出たという。
アンジェリーナ・ジョリーはこの作品でアカデミー助演女優賞を受賞。
スザンナとリサが友人を励ますためドアの外からギターをたどたどしくつまびきながら歌っていた「Downtown(邦題「恋のダウンタウン」)はじめ、「イパネマの娘」「ケセラセラ」「ムーンリヴァー」「オーバー・ザ・レインボウ」など日本でもおなじみのメロディーが流れていた。