善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女

ダヴィド・ラーゲルクランツ『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (上・下)』(早川書房
1から3まで続いたスティーグ・ラーソン作の3部作の続編。
同じスウェーデンの別の作家がシリーズを受け継ぎ、第4作を完成させた。
これが本作で、おもしろくて一気に読んでしまった。

ラーソンは3作を書き終えたあと、出版社と出版の契約結んだものの病気で急死してしまった。50歳という若さだった。
ラーソンのパートナーだったエヴァ・ガブリエルソンによると、ラーソンは3部作以降の原稿も書いていて、それが不完全ながらデータの形で保存されていたという。
今度、第4作が出たとき、てっきりその遺稿を元にまとめたのかと思ったら、ダヴィド・ラーゲルクランツによるまったくの新作という。
もちろん、遺族の了解を得た上での出版だ。

ダヴィド・ラーゲルクランツという人はもともと伝記やノンフィクションを中心に書いてきた作家で、本書を書くにあたってラーソンの作品を何度も読み返し、研究したという。

アメリカのスパイ情報機関、NSA(国家安全保障局、通信傍受・盗聴・暗号解読などを行う国防総省傘下の情報機関)のネットワークがハッカーに翻弄されるなどなかなか痛快な展開で、まるでラーソンが乗り移ったような筆致。立派に4部作の1つになっていた。

こうなると第5作に期待してしまうが・・・。