善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ジミー、野を駆ける伝説

久々に朝から新宿に出かける。
かつてのコマ劇場前はまるで風景が変わってしまった。
コマ劇場跡地にはシネマコンプレックス「TOHOシネマズ新宿」と地上130m(30階建て)のホテルがこの4月にオープンするという。
イメージ 1

向かいの映画館・ミラノ座は惜しまれて閉館。ついでにミラノボウルも閉館したらしい。若いころ新宿で朝まで飲んで、午前4時からの早朝ボウリングに行ったもんだ。
イメージ 2

本日のお目当ては新宿ピカデリーで本日(17日)から公開の『ジミー、野を駆ける伝説』。
きのうの夕刊にこの映画のレビューが載っていて、アイルランドの話だというので、去年の秋にアイルランドに行った縁で見に行くことにしたもの。
第1回は午前9時20分から。9時前に劇場に着くと、けっこう人がいっぱい。 
イメージ 3

ケン・ローチ監督の新作映画。
実在のアイルランド人活動家、ジミー・グラルトンが主人公という。

1932年のアイルランド。内戦終結から10年が経過し、元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)が10年ぶりにアメリカから故郷の片田舎に戻ってくる。
仲間たちに歓待されたジミーは年老いた母親との平穏な生活を望んでいたが、未来に希望を捨てない村の若者たちの訴えに衝き動かされ、閉鎖されたホール(集会所)の再開を決意する。
そのホールは、かつて仲間たちと芸術やスポーツを楽しみ、語り合うために自分が先頭に立って完成させたホールだった。
ホールの復活で住民たちの間には活気が戻ってくる。しかし、ジミーの影響力を恐れた神父のシェリダン(ジム・ノートン)は、住民を戸別訪問してホールに行かないようにと警告し、やがて騒動に発展する……。

アルカイダや「イスラム国」がどうだこうだいっているが、かつてはキリスト教が地主の代理人となって人々を抑圧し、生存権も自由も奪っていたことがよく分かる。

映画の冒頭から、懐かしいアイルランドの風景。
若者たちが道端でアイリッシュダンスを踊っている。その様子を見ただけで、なぜか涙が出てしまった。ホントなぜだろう。

暗がりのホールで、主人公のジミーと、ジミーの昔の恋人で今は2児の母親であるウーナ(シモーヌ・カービー)がダンスを踊る。胸に迫るラブシーン。

そして何より、年老いた母親アリス(アイリーン・ヘンリー)が適役。実は母は、ただ黙々と働くだけの寡黙な主婦ではなくて、村の子どもたちに本を与えたりして、学ぶことの大切さを教えてきた。理不尽な理由で息子が国外追放になるというときの、自由と尊厳の尊さを説く母の訴えがこれまた感動的だった。

最後のシーン。
国外追放のためトラックで運ばれるジミーを見送る若者たちのすがすがしい姿。
実在のジミーは、第2世界大戦が終結した1945年12月、アメリカの地で亡くなったという。