赤道直下のアフリカ大陸のジャングルに、現世人類を脅かすかもしれない生物が発生した、との情報がホワイトハウスに入る。時の大統領グレゴリー・S・バーンズは秘密裏に処置(すなわち抹殺)することを命令する。
アメリカ陸軍グリーベレー所属の兵士だったジョナサン・イエーガーは、不治の病である肺胞上皮細胞硬化症(この小説のための架空の病気)に侵された幼い息子の治療費を稼ぐため、民間軍事会社で傭兵として働いている。イラクの警備任務を終えた彼に、高額の報酬を伴う仕事の依頼が入る。その仕事とは「新種ウイルスに感染したピグミー集団を始末せよ」というものだった。
一方、日本では、創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人の父、誠治が急死した。葬儀を終え研人が大学に戻ると、死んだ父から「アイスキャンディで汚した本を開け」とのメールが届いていた。実家の書斎にある「本」を探し当てると、中には一枚のメモとキャッシュカードが入れられていた。そして研人は父からの「肺胞上皮細胞硬化症の特効薬を創れ」との“遺言”を聞く・・・・・・。
しかし、終章での主人公の言葉に救われる思いがする。
「もう安心だよ。ここ(今の日本)には戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」
本書のメッセージがここにある気がした。