善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

高野和明 ジェノサイド

土曜日朝の善福寺公園は曇り。
下池に去年見つけたツツジ科のカルミアの花が咲いていた。
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去年見たときは「お菓子みたい」と思ったかだ、ツボミはまるでコンペイトウだ。おいしそう。
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ようやく手にできた高野和明の『ジェノサイド』(角川書店)を読む。
おもしろかった。イッキ読みする。

赤道直下のアフリカ大陸のジャングルに、現世人類を脅かすかもしれない生物が発生した、との情報がホワイトハウスに入る。時の大統領グレゴリー・S・バーンズは秘密裏に処置(すなわち抹殺)することを命令する。

アメリカ陸軍グリーベレー所属の兵士だったジョナサン・イエーガーは、不治の病である肺胞上皮細胞硬化症(この小説のための架空の病気)に侵された幼い息子の治療費を稼ぐため、民間軍事会社で傭兵として働いている。イラクの警備任務を終えた彼に、高額の報酬を伴う仕事の依頼が入る。その仕事とは「新種ウイルスに感染したピグミー集団を始末せよ」というものだった。

一方、日本では、創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人の父、誠治が急死した。葬儀を終え研人が大学に戻ると、死んだ父から「アイスキャンディで汚した本を開け」とのメールが届いていた。実家の書斎にある「本」を探し当てると、中には一枚のメモとキャッシュカードが入れられていた。そして研人は父からの「肺胞上皮細胞硬化症の特効薬を創れ」との“遺言”を聞く・・・・・・。

アメリカが引き起こしたジェノサイド(大量虐殺)が描かれているし、アフリカでのジェノサイド、そして日本にもジェノサイドがあったことがしっかりと描かれている。
関東大震災のときの在日朝鮮人虐殺だ。

しかし、終章での主人公の言葉に救われる思いがする。

「もう安心だよ。ここ(今の日本)には戦争はないからね。この国の人たちは、もう戦争はしないと決めたんだ」

本書のメッセージがここにある気がした。