善福寺公園めぐり

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日本の民家一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点

きのう(16日)は東京・パナソニック汐留ミュージアムで開催中の「日本の民家一九五五年 二川幸夫・建築写真の原点」展をみにいく。
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すばらしいの一言だった。これまでも日本の民家の写真は見たことがあるが、こんなに感動したことはなかった。それは、二川の写真のワザのすばらしさとともに、彼がとらえた民家そのもののすばらしさへの感動である。二川の感性が、民家そのものが放つ美しさをとらえたからこその感動であろう。

写真展の会場構成もよかった。レイアウトしたのは建築家の藤本壮介氏で、まるで街道を歩きながら町並みをめぐり、1軒1軒の家々を訪ねていく感じで、旅人の気分になれる。

上空から俯瞰した家々の「群れ」としての美、歩く人のアングルからながめる町並みの美、そして家の中に入り込んで見る造形の美。どれも美しい。

今回の写真展は、1959年に毎日出版文化賞を受賞した同名の写真集(『日本の民家』全10巻写真・二川幸夫、文・伊藤ていじ、美術出版社)に収められた日本各地の民家を写した280点の写真から、再度2012年に約70余点を選び出して、最新のデジタル出力技術により新たにプリントを起こしたものという。

写真はいずれも、現在80歳の二川氏が、20歳前後に撮影したものだ。

何がすばらしいかといって、人々が家づくりに傾けた知恵と工夫がすばらしい。
日本の家の特徴の1つは屋根の工夫であろう。
四季があり、それに加えて梅雨の雨期がある日本では、暑さ寒さ、それに湿気とともに雨風に備えるため屋根の工夫が欠かせない。

そこでたとえば徳島県つるぎ町、平の民家では、「針覆い(はりおい)」といって、茅葺き屋根の棟を包むためにまわした糸につたって雨が漏るのを防ぐようにして、それがまた装飾にもなっている。

佐賀県の民家にある「ミンノス」。棟先が風にほぐれないように茅束で補強してある。

宮崎県高千穂町の民家では、風雨にさらされるため叉状にくんだ自然木で屋根を押さえてある。

山形県鶴岡市の民家のカブト屋根は、通風や採光のための知恵から生まれたもので、まるで兜のように見える。

家の中もスゴイ写真があった。
山梨県塩山市の民家の大黒柱。根元で2尺角(約60㎝超)のクリの木でできていて、3階の床の高さにまで達している。まさに自然の木そのままという感じで、2つに分かれる木の股をそのまま利用して3階の床を支えている。
オーストリアの建築家フンデルトヴァッサーは家の中に木を生やしたが、ここでは1本の大樹が家を支えている。

とにかく、このところ必見の展覧会である。

帰りは近くのカレッタ汐留2階にある「ジャックポット汐留」というオイスターの店でランチ。
土曜日というのに、客はわれわれだけで、ちょっとさびしい。(きのうは風がかなり強かったから、人も少なかったのかも)
生ガキ3ピース盛りが1人前1200円。白ワインをボトルでもらい、長崎の九十九島産カキ、五島列島産カキ、兵庫・室津産カキの食べ比べ。一番濃厚でおいしかったのが兵庫・室津のカキだった。
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ほかにサラダ、ピザを注文。けっこうボリュームあり。
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中国からきたという若いボーイさんがたどたどしい日本語で接待してくれ、途中、なみなみ注がれたワインのグラスをうっかり倒してしまったら、1杯サービスしてくれた。アリガトー。