善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ヤング・コンサート・アーティスト・フェスティバルウィーク

きのう(11日)は銀座のシャネルでクラシックのコンサート。
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銀座3丁目にあるシャネル銀座ビル4階のネクサス・ホールで6月9日から15日まで「ヤング・コンサート・アーティスト・フェスティバルウィーク(Young Concert Artists Festival Week)」というのが開かれていて、きのうはその3日目。

ヤング・コンサート・アーティスト(YCA)とはアメリカの音楽系のNPO法人で、1961年、世界中の優れた若いアーティストを発掘し、そのキャリアの第一歩を支援することを目的にスーザン・ワッズワースさんという人によって設立された(きのうのコンサートでもあいさつしていた)。日本人音楽家の中にもYCAの薫陶を受けた人が多くいて、ヴァイオリンの漆原朝子などもその1人という。

YCAと、その活動を応援するシャネルとのコラボで開催されているのがこのコンサートで、今年で7回目という。入場料は無料、ただし、抽選。

会場は100人も座れば一杯となる小ホール。入口でパンフレットをもらって驚いた。50ページほどもあるハードカバーの上製本で、入場料タダにしてはちょっとやりすぎ、というか、さすがシャネル。
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YCAにしても今回のコンサートにしてもすべて世界中にいるパトロンで成り立っている。だから資金は潤沢であり、タダで聴けるこんなすばらしいコンサートも企画できるのだろう。文化の発展にパトロンは欠かせない(文楽に金を出すのをケチる大阪の橋下市長に聞かせたい話)。

きのうの曲目と演奏者。

モーツァルトのフルート四重奏第1番 ニ長調 K285
アレクサンドル・ハスキン (フルート)
戸田弥生 (ヴァイオリン)
ノクトゥーラ・ングウェニャーマ (ヴィオラ
トーマス・キャロル (チェロ)

ドホナーニの弦楽三重奏のためのセレナード ハ長調 op10
戸田 弥生 (ヴァイオリン)
ノクトゥーラ・ングウェニャーマ (ヴィオラ
トーマス・キャロル (チェロ)

シューベルト(リスト編曲)のセレナーデ 水の上で歌う 魔王
ルイ・シュヴィッツゲーベル (ピアノ)

ブラームスピアノ三重奏曲 第3番 ハ長調 op101
キャロライン・グールディング (ヴァイオリン)
ジュリア・ブラスキン (チェロ)
ベンジャミン・モーザー (ピアノ)

どれもすばらしかった。
大ホールでなく、小ホールで聴くと、1つ1つの音の響きが耳に心地よい。
そういえばリヒテルは晩年、大ホールよりこじんまりとした場所で演奏するのを好んだというエピソードを思い出した。

ドホナーニの曲は現代曲ふうでありつつも、どこかロマン派の影響を色濃く受けている感じで、その融合が美しかった。

圧巻だったのはブラームス
ヴァイオリンを片手に、小さくてかわいい女の子が出てきたかと思ったら、なんとも力強い響き。
かたやピアニストはかなりの長身で、体を丸めて猫背になって弾く姿がほほえましい。
三重奏で弦はヴァイオリンとチェロだけだからか、2つの楽器のハーモニーが絶妙だった。

ヴァイオリンのキャロライン・グールディングは、19歳でソリストとして北米の一流オーケストラと共演していて、今は20歳ちょいすぎか? 今後が注目されるヴァイオリニスト。
使用している楽器はナント、アメリカの実業家ジョナサン・モールズから提供を受けたという1720年ストラディヴァリ製ヴァイオリン「ジェネラル・キッド」という名器だった。