善福寺公園めぐり

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タランティーノ「ヘイトフル・エイト」

日曜日はT・ジョイ大泉で前日から公開が始まったばかりのクエンティン・タランティーノ監督『ヘイトフル・エイト』を観る。
朝9時半開始の第1回上映だったからか、客席はまばら。20人ぐらい入っていただろうか。若い人が多かった。
70㎜フィルム作品(上映はデジタル)というのでワイドスクリーンがなかなか迫力がある。左で演技する者があれば同時に右でも演技していて、まるでナマの舞台をみているようだった。

題名の「ヘイトフル・エイト」とは「憎むべき8人」という意味か。
南北戦争直後のアメリカ・ワイオミング。猛吹雪のため野中の一軒家に閉じ込められた8人のワルをめぐる物語。西部劇というより密室のミステリー劇。
タランティーノ監督だけに凄惨な銃撃シーンはハンパない。
上映時間168分というチョー長い映画だったが、息もつかせぬ展開。ときどき美しい雪のシーンがたっぷりあったりして冗長的なところもあったが。

好演は8人のヘイトフルの中の唯一の女性で、賞金稼ぎに連行される途中の凶悪犯の役をしていたジェニファー・ジェイソン・リー。たぶん素顔はすこぶる美人だろうが、映画では殴られ蹴飛ばされ、前歯も何本か折られ、自分の血や人の血で真っ赤な顔をして熱演。
アカデミー賞候補になっているらしいが、その価値はあり。

しかもナント、父親はあのヴィック・モロー。昔テレビでやっていた「コンバット」のサンダース軍曹だ。あー懐かしい。
アメリカ大統領選挙バーニー・サンダースに共感を覚えるのも、ひとつにはあの「コンバット」のサンダース軍曹が頭にあるからかもしれない。

カート・ラッセルが恰幅のあるオッサン風の賞金稼ぎで登場していたのにはびっくり。「バックドラフト」や「エグゼクティブ・デシジョン」のころのカッコよさはないが、なかなか味のある演技。捕らえた犯人は「生死を問わず」であろうと必ず生きたまま護送し絞首台に送るという矜持?を持った荒くれ者。

ちなみに「バックドラフト」(消防士の活躍を描いた映画)にはジェニファー・ジェイソン・リーも出演していた。

音楽はマカロニウエスタンで懐かしいエンニオ・モリコーネ
たしかもう相当の年だと思うが。