善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ドライヴ

きのう午前中はまだ咲いてなかった善福寺公園のサクラ、午後になって開花した。去年より4日遅れ。

きのうは新宿のバルト9で封切ったばかりの『ドライヴ』を観る。
新聞の映画評で、あまりにもほめちぎっているのでつい足を向けた次第。
毎月1日は映画デーで1000円均一というので映画館は大にぎわい。
事前にネット予約してたので助かった。それでも券売機の前に長蛇の列。エレベーターに乗るにも行列。さすが新宿というべきか、単に安いからか。
席も満席。客層は年寄りは少なく若い人や中年層が多い。

映画は──。
昼はハリウッド映画のカースタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手として働く孤高の天才ドライバーが、愛する女性を守るため裏社会を相手に命がけの戦いを繰り広げる物語。上映時間100分で一気にみせる。
監督はデンマーク出身の新鋭ニコラス・ウィンディング・レフン。主演はライアン・ゴズリングキャリー・マリガン。昨年、第64回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した。

主人公は“ドライバー”(ライアン・ゴズリング)。名前もはっきりしない寡黙でクールな男。
家族も友人もいない孤独なドライバーは、ある晩、同じアパートに暮らすアイリーン(キャリー・マリガン)と偶然エレベーターで乗り合わせ、一目で恋に落ちる。

夫は?と聞くと刑務所で服役中という。ある日、アイリーンの夫が帰ってくる。
夫は服役中の用心棒代として多額の借金を負っていて、その返済のため、妻子の命を盾に強盗を強要される。
ドライバーは、夫と家族のため無償で強盗のアシストを引き受ける。

計画当日、ドライバーが車で待つ間、夫は質屋に押し入り首尾よく金を奪うが、逃走寸前に質屋の主人に撃ち殺され、ドライバーも九死に一生を得る。
実は、この強盗計画は、夫に強盗を強要した街のヤクザによって仕組まれたものだった。自分たちが嵌められたことを知ったドライバーは、残された妻と子を守るため、狂気に走っていく。

この映画は純愛映画だと思った。純愛ゆえに、ドライバーは狂気に走る。

見終わって一瞬、大昔の西部劇「シェーン」を思い出した。
流れ者のガンファイター・シェーンは西部の開拓地にたどり着く。開拓農民の一家は悪徳牧場主にいじめられている。農民一家と仲良くなるシェーンだったが、妻マリアンは彼にひかれ、シェーンもまた彼女にひかれていく。
やがて悪徳牧場主の暴虐に堪忍袋の尾が切れたシェーンは怒りを爆発させ、1人、ガンファイトに向かう。
勝利したシェーンは「シェーン!カムバック!」と叫ぶ息子の叫びを背中で聞きながら、ワイオミングの山へと去っていく。

あの映画も純愛物語だったが、「ドライヴ」ほど狂気ではなかった。
現代は、純粋に徹しようとすれば、危うい心に陥らざるをえないのだろうか。

2つのドライブシーンが登場する。
好きになった女性とその息子と3人でピクニックに行くときのドライブ。
一転して、車が凶器となったときのドライブ。
同じようなシーンのはずだが、意味を持つことによって表情を変える。
クリフ・マルチネスの音楽がいい。

帰りは映画館近く、新宿3丁目の「彩蕎麦 吉遊」で遅い昼食。
春らしく山菜の天ぷらに板わさでイッパイ。〆はもりそば。
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[観劇データ]
ドライヴ
新宿バルト9
11時50分~
シアター8 F-10
ファーストデイで1000円