善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

春のチーズ さくら

いかにも春のようなチーズを食べた。
ヨーロッパのチーズではなく、北海道産の「さくら」というチーズ。
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山のチーズオリンピックという国際的なチーズの競技会がヨーロッパで開催されている。大量生産のチーズが普及するなかで、昔ながらのやり方で手作りに徹している山岳地帯のチーズの味を競い合い、「山のチーズはおいしいよ」とアピールするためのコンクールだという。

2009年に開催された山のチーズオリンピックで特別金賞を受賞したのは日本のチーズだった。北海道上川郡新得町にある「共働学舎新得農場」というところが作ったチーズだ。その名も日本らしく「さくら」。

先日、港区愛宕のフレッシュチーズの店「フェルミエ」で「さくら」の名前にひかれて購入、食べてみた。見た目はカマンベールチーズのようだが、食べてみるとまるで違う。塩漬けのサクラの葉がわずかな香りを放ち、酸味と甘味、それに塩味が混じり合った味。中のとろけるような感じはなく、食感もカマンベールとは違う。

カマンベールチーズは表面に白カビを生やして熟成させるが、「さくら」は表面を自然のカビや酵母で仕上げているという。メインの働きは酵母だ。
製造工程もシンプル。1日かけてゆっくりと発酵させて型に詰め、さらに1日半かけて水分を自然に脱水させる。できたチーズは塩をして、少し乾燥させて表面に酵母が動き出したところで石造りの熟成庫に運び、桜の葉の上に載せて熟成させる。
酵母の働きで白カビのように全体が白くなり、それで見た目にはカマンベールチーズみたいになるようだ。
2週間ほどの熟成なのでクセも強くなく、それでいて素朴ながらもしっかりとした味に仕上がるという。
ただ、熟成期間が短いからか、製品になったあとも熟成は進むので(チーズが生きている証拠)、早めに食べないといけない。

用いられる酵母は日本の味噌などにも使われる酵母だという。それなら日本酒とも合うはずだが、ワインのつまみにたちまち食べてしまって、日本酒との相性を確かめる間もなかったのが悔やまれる。

それにしても、「フェルミエ」で買った何種類かのチーズを食べてみて、やはり思い出すのは最初に買った「コンテ」(18カ月熟成)だったというのは、なぜだろうか。