善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

黒テント 6号室

日曜日の善福寺公園は晴れ。陽差しがやさしい。

上池の弁天島あたりはカモやゴイサギ、ウなどのエサ場になっていて、いつもたくさんの鳥たちがいる。
その中で、胸をふくらませ、そのふくらました胸でつっぱり合いをしている2羽のオナガガモを発見。しかもオスとメス。どうも愛の交歓ではなさそう。
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互いにふくらませた胸でぶつかりっこしているうち、今度はクチバシでつっつきあって、やがてプイッと離れていった。

きのうは劇団黒テントの今年最初の芝居を観るため、神楽坂にあるシアターイワトへ。
アントン・チェーホフの小説「六号病棟」を劇化した「6号室」。台本・演出は坂口瑞穂。

主要な登場人物は地方都市の医師であり院長のアンドレイ・エフィームイチ(片岡哲也)と、その病院の精神病棟に入院というか軟禁されている若い男イワン・ドミートリチ(滝本直子)。

アンドレイはイワンと議論を繰り返すうち、心が満ち足りてゆく。
イワンはこんなことをいう。
「僕が知っているのは、・・・神が僕を暖かい血と神経とで創ってくれたということだけだ、そうですよ!そうして有機体は、もし活力が失われていなければ、どんな刺激にも反応しないではいられない。だから僕は反応するんだ!」
イワンは本当に精神病者なのか? だが、彼の言葉にはまっとうな響きがある。しかし、まっとうすぎる人間はやがて社会からはみ出し、病人扱いされるようになるのだろうか。

イワンに共感するアンドレイは、最後には自分自身も精神病者として6号室に押し込まれることになり、物語は終わる。

正気と狂気の境目っていったい何なの? と問いかける芝居だった。
そして、この話はまさに現代の話だと思った。だれもが狂気に走ってもいいような時代。それは現実から逃げたからなのか、あるいは現実と向かい合い格闘したゆえなのか。

いくつもの珠玉の言葉があった。坂口瑞穂の台本はさすがにいい。

問題は、いつも気になっている演技だが、きのうの芝居を見てあるいはそうかもしれないと気づいた。
いつも棒読みで、まるで朗読のようなセリフ。あれはヘタだからとかいうのではなく、あえてそういう語り口に徹しているのかもしれない。
あるいはブレヒトの「異化効果」を狙っているのだろうか?

観劇のあとは一緒に行った仲間と近くの居酒屋へ。
時刻は夕方の4時半ごろで、5時開店の店ばかり。その中で、4時開店という店が「とり酒場 わや」。
エビを丸ごと入れた焼きエビギョウザ、B級グルメの甲州トリモツ煮もどき、などを食す。酒はワインに焼酎などなど。
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