アメリカ・カリフォルニアの赤ワイン「ロッソ・アンド・ビアンコ・ロッソ(ROSSO & BIANCO ROSSO)」
アメリカの映画監督フランシス・フォード・コッポラ氏が設立したワインナリーが醸す赤ワイン。
彼の両親はイタリアからの移民で、カリフォルニアではワインを造った経験もあり、そんな両親を見て育ったコッポラ監督の長年の夢がワインづくりだったという。
カベルネ・ソーヴィニヨン(26%)、ジンファンデル(26%)、シラー(26%)、プティ・シラー(22%)をブレンドし、ふくよかな味わい。
ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していた西ドイツ・ペルー合作の映画「フィツカラルド」。
1982年の作品。
原題「FITZCARRALDO」
監督ベルナー・ヘルツォーク、出演クラウス・キンスキー、クラウディア・カルディナーレ、ホセ・レーゴイ、パウル・ヒットシェル、ミゲル・アルヘン・フエンテス、ウェレケケ・エンリケ・ボホルケスほか。
南米奥地でオペラハウス建設に挑む男の姿を壮大なスケールで描く。
19世紀末。南米ブラジルのマナウスのオペラハウスでの世界的オペラ歌手エンリコ・カルーソーの公演を1人の男がうっとりして聞いていた。男はアイルランド出身のブライアン・スウィーニー・フィツジェラルド(クラウス・キンスキー)。しかし、アメリカ先住民のインディオたちには発音が難しいため、“フィツカラルド”と呼ばれていた。
彼はペルーのイキトスで粗末な水上小屋に住んでいたが、ジャングル奥地にオペラハウスを建設しようと決意する。多額の建設資金を稼ぐため、ジャングルを切り開いてゴム園を作ることにした彼は、唯一の理解者で愛人でもある娼家の女将モリー(クラウディア・カルディナーレ)に土地の購入費と川をのぼる中古船を買う金を出してもらい出航する。
しかし、その土地は激流の川の上流にあり、船でたどり着くことが困難だった。そこでフィツカラルドは、ある途方もないアイデアを思いつく。それは船を山越えさせることだった・・・。
ベルナー・ヘルツォークとクラウス・キンスキーのコンビによる「アギーレ 神の怒り」(1972年)に続いて、南米アマゾンの奥地が舞台。
しかも今回は、巨大な蒸気船をインディオの協力を得て山越えさせようとするのだから、とても信じられない話。今と違ってCGでごまかすわけにもいかず、実際のジャングルで、実際に巨木を伐採して、本当に蒸気船をテコの原理でアマゾンの上流から山の急斜面を引っ張り上げて、反対側を流れる川に下ろす「船の山越え」をやってのけた。
本作には実在のモデルがいて、名前もカルロス・フィツカラルドというゴム王。アマゾンの奥地にオペラを持ってくるため、このフィツカラルドさんも船で山を越したというが、船を分解して運んだという。
それじゃあスペクタクルにならん、というわけで、ヘルツォーク監督は重量320トンもある本物の船をまるごと山越えさせたわけだが、確かに迫力満点、息をのむようなスペクタクル映像がスクリーンいっぱいに広がった。
フィツカラルドが聴いて感極まったというエンリコ・カルーソーのテノールの歌声がすばらしい。
何しろカルーソーは輝かしい高音と豊かな声量でオペラ史上に名を残す名テナー。
フィツカラルドは蒸気船で川をのぼって行きながら、カルーソーのSP盤を蓄音機でかけてジャングルに響き渡らせる。すると、インディオたちはまるで神の声のように聴き入り、フィツカラルドの無謀な挑戦に進んで協力するのだ。
本作で流れた名曲の数々。
ヴェルディのオペラ「エルナーニ」に始まり、マスネ「マノン」2幕「夢の歌」、ヴェルディ「リゴレット」3幕「美しい乙女よ」、プッチーニ「ラ・ボエーム」4幕「もう戻らないミミ」、ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」2幕2場「婚礼の6重唱」などなど。
アマゾンの激流と優雅なオペラの曲とが、実に美しく調和していた。
クラウディア・カルディナーレが、最初出てきたときは、25歳ごろの「山猫」や「ブーベの恋人」のときに比べだいぶ年をとったな~、と思ったが、不思議なもので見ていくうちにだんだんかつての美しさがよみがえってきた。