善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

秋に咲くサクラの気持ち

日曜日の善福寺公園。朝から蒸し暑い(とうとう日中は30度近くにまで上昇)。

久々に公園を訪れたが、早くも北の国からオナガガモが飛来していた。

先月の台風による被害で、枝を折った木があちこちに。倒れた木はすでに片付けられたようだが、根っこの部分がまだ残っているのも・・・。
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下池を回って上池に戻ると、サクラ(ソメイヨシノ)の木に花が咲いている。ほかの木は花をつけていないから、狂い咲きしているのはこの木だけのようだが。
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そもそもサクラは春に咲く。その花芽は前年の夏に形成される。その後「休眠」状態になって、休眠した花芽は一定期間、低温にさらされる。春になって気温が上昇すると眠りからさめ、花芽は成長を始める。気温が高くなるスピードにあわせて、花芽の生成も加速し、やがて「開花」する。

ウメは光で咲き、サクラは気温で咲くというが、サクラの場合、秋から冬にかけての気温と春先の気温に開花が大きく関係しているという。四季のある日本でこそ進化したのがサクラなのだろう。

サクラの花芽は7月ごろにそのもとが作られるんだが(これを「花芽分化」という)、この花芽分化以降、なんらかの原因で葉がなくなってしまうと、狂い咲きという現象が起こる。

葉っぱはただ太陽エネルギーを吸収するだけでなく、開花抑制物質というのも出していて、開花を制限しているのだそうだが、その抑制がなくなると、サクラはいつでも開花OKとなってしまう。

秋になって夜間に低温になると「そろろそろ咲くころだぞ」と錯覚してしまい、日中、あったかくなったりすると、春と間違って開花してしまうのだ。

なぜ葉っぱがなくなってしまうか。台風による被害、害虫に食い荒らされる被害、などがいわれる。そういえば9月の台風は猛烈な雨と風で、公園の大木が倒れるほどだったし、今年はモンクロシャチホコという害虫が大量発生し、公園のサクラの葉っぱを軒並み食い荒らしてしまった。
それに、きのうの猛暑である。
サクラが間違って咲いてしまうのもむべなるかな、というところか。

それともう1つ、本来、サクラは秋に咲く植物だったという。

サクラの原種はヒマラヤとか西アジア生まれで、もともとは秋から冬に咲いていたという。それが日本など四季のある国で繁殖するうち、生き残るための戦術として「休眠」することを覚え、春に咲くようになった。

秋に咲いた“狂い咲き”の花は、実は、もともとの自分たちのルーツを呼び覚ます“祖先帰り”なのかもしれない。

そんなことを考えながら秋に咲くサクラを見ると、なんだかいとおしい。