善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

マイクル・コナリー「エコー・パーク」

マイクル・コナリーの「エコー・パーク」
以前読んだ「リンカーン弁護士」がおもしろかったので手にとるが、なかなかの傑作だった。

ロサンゼルス市警で未解決事件を担当するハリー・ボッシュの物語。すでに10何作のシリーズものらしいが、初めて読んでも違和感はなかった。
読み始めた当初は多少かったるかったが(洋物の場合、名前がなかなかピンとこず、巻頭の「主な登場人物」をひっくり返してはマゴマゴする。これが日本の平蔵とか伝兵衛とかだったらすぐにわかるんだが)、途中から快調になり、一気に読み進める。こんなときの快感ったらない。

ロス市警刑事ボッシュは、13年前に自らが担当した若い女性、マリー・ゲストの失踪事件が忘れられない。狙いをつけた容疑者はいるのだが、立証が難しくて捜査はまるで進んでいない。ところが、ロスのエコー・パーク地区で、女性2人のバラバラ死体を車に乗せていた男が逮捕された。容疑者は司法取引を申し出て、死刑免除を条件に過去9件の殺人も自供するという。男の口から語られるおぞましき犯罪。その中に、ボッシュが長年追い続けるマリー・ゲストの事件も含まれていた。容疑者の自供を確かめるため、ボッシュたちはマリーの埋められた場所へ向かうが……。

ときどき著者に都合のいい記述もあるが、生々しい描写に引き込まれる。特に話が二転三転するあたり、コナリーの巧緻なプロットづくりのなせるワザのようだが、「次はどうなるの?」とハラハラしながらページを繰る。これこそミステリの醍醐味だろう。

今年読んだミステリ(といったってたいして読んでないが)の中で一番おもしろかった!