善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

酔芙蓉はなぜ赤くなるか

けさの善福寺公園は晴れ。雲も出ていて、比較的すごしやすい。

それにしてもスイフヨウ(酔芙蓉)は不思議な植物だ。朝、白かった花が、昼ごろにはピンクになり、夕方になると赤くなる。1日花なので、翌朝にはしぼんでしまう。

普通のフヨウも1日花だが、白は白で赤は赤であり、1日のうちに色が変わるなんてことはない。朝は白かったのがやがてピンクになり、赤くなるというので、つい名前がまるで飲んべえみたいだというので「酔芙蓉」。なかなか粋な命名だ。

朝のスイフヨウ。午前6時ごろ。
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お昼ごろのスイフヨウ。ピンクっぽくなっている。
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午後3時ごろのスイフヨウ。かなり赤い。
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午後6時ごろのスイフヨウ。かなり赤いが3時ごろとあまり変わらない。しぼんだ花は紫色になっていた。
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なぜスイフヨウは時間とともに赤くなるのか?
原因はアントシアニンという色素の働きという。アントシアニンはフラボノイドの一種で、抗酸化物質として知られる。

植物にとっても、太陽からの紫外線は有害だ。紫外線が当たると活性酸素が生成され、生体にダメージを与える。植物には葉緑体があり、そこには緑色のクロロフィルや黄色のβカロテンなどが含まれていて抗酸化作用を発揮しているが、それでも足りないとなるとアントシアニンが合成されて活性酸素を消去する働きをしている。

赤い色の実とか花はみんなアントシアニンの赤。特に赤道直下とか熱帯原産の植物は、太陽光線の強烈度もハンパじゃないから、赤い色のものが多い。お米だって、われわれが食べているお米は白米だが、もともとは赤米、黒米だったという。赤が濃くなった色が黒だから、究極のアントシアニンの色は黒色なのだろう。

それだったら、スイフヨウの花ははじめッから赤色をしていればいいものを、最初は白で、なぜ途中から赤に変わっていくのだろうか。

考えられるのは虫を呼び寄せる作戦だ。
花は、人に気に入られようとして美しく咲くのではなく、あくまでもその目的は自分たちのためだ。子孫繁栄のためには、動くことができない植物は動いているものを何とか味方につけようと、美しい花を咲かせ、甘い蜜を出して、花粉媒介をしてくれる虫たちを呼び寄せる。

白い色というのは、虫を呼び寄せるのに格好の色なのではないか。
スイフヨウはわからないが、フヨウの花にはハナバチとかスズメチョウみたいなチョウチョがいっぱいたかっていて、体中に花粉をまとわりつけながらセッセと蜜集めをしていた。虫が見える色と人間が見える色とでは違っていて、白色はかならずしも白色ではなく、蜜のありかを教える色というのもあるらしいが、人間の目からは白に見える色は、虫にとっては魅力的な色なのかもわからない。

あるいは、日差しが強いゆえにか、夏に咲く花は赤が多い。あえて紫外線の害という危険を冒してまで朝のうちは白い花を咲かせて、ほかより目立つ色にして虫を呼び寄せているのかもしれない。

ちなみに、アサガオの花も、わが家のアサガオは青色だが、朝、青かった花が、昼ごろにしぼんだころには赤色をしていた。これもアントシアニンの作用なのだろうか。