善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

カワセミと原爆の日

けさの善福寺公園。晴れ、風なく、暑い。
きょうはカワセミと会えず。

きのう見た3羽のカワセミのうちの2羽は、どうやらカップルだったようだ。するともう1羽は、メスを横取りするため飛んできたオスか、それとも2羽の子どもだろうか。

カワセミは一夫一妻で、繁殖期は春から夏にかけて。つまり8月の今ごろも繁殖の時期なのだ。しかも、カワセミは年に2~3回繁殖することもあるという。

繁殖期以外は1羽1羽が単独で縄張りを持ち、繁殖期になるとつがいで縄張りを持つようになるという。すると今が第2の繁殖期で、求愛行動をとっていたのだろうか。
巣も近くにあるのかもしれない。

カワセミは水辺の土の崖に、クチバシを使って50~100cmぐらいの探さの穴を掘り、そこを巣にするのだという。しかし、善福寺池の土手は石垣だから巣作りには向いていないが・・・。

ところで、きょう8月6日は65回目の広島原爆投下の日。
人類学者で、アフリカの無文字社会の研究などで知られる川田順造氏が、「悲劇に正当な憤りを」と題する文章を朝日8月5日付夕刊に載せていて、「戦争を体験した世代は、後に続く世代に、何をどう伝えるべきなのか」と問いかけ、「怒り不在の日本人」を取り上げている。

かつて佐藤栄作内閣は、10万人もの一般市民を綿密な計画の元に焼き殺した東京大空襲を始め、多くの都市への新型焼夷弾攻撃を実行し、原爆投下の現地指揮者であった米空軍司令官ルメイを、彼の行為を免責するかのように、自衛隊育成に功績があったとして、勲一等旭日大授章を贈った。

東京大空襲の被害にもあった書家井上有一が、「反戦作品」とされる作品を発表したが、空襲の悲惨さを生々しく描いてはいても、残虐行為を実行した米軍に対する憤りは表明されていなかった。

そして川田氏は次のように述べる。
「怒りの不在は、広島・長崎の被爆者の証言にもうかがえる。赦(ゆる)しを美徳とする、日本人の特質に由来するのだろうか。
怒りからだけでは、平和はつくれない。だが、悲惨な体験を『風化させず次の世代に伝える』だけでは、よりよい未来が築けないことも確かだ。悲劇の本質を明らかにし、それに対して正当に憤ることが、私たちに必要ではないだろうか」

オバマ大統領の「プラハ演説」が高く評価されるのも、単に「核兵器廃絶」を呼びかけているのではなく、「米国は核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的責任がある」と述べて、原爆を投下した自国の「責任」を認めているからこそなのである。

あの日、広島にも、つがいのカワセミがいただろうか?