善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

バンとゴイサギ

日曜日朝の善福寺公園はきのうにつづき快晴。微風。

上池から下池にまわりると、ピンクのスイレンも咲いてきた。
そばの杭の上にシラサギ2、アオサギ1の3羽揃い踏み。やがて1羽のシラサギが上池方面に飛んで行く。

さらに下池をめぐっていくと、池の小島からバンが飛んできた。バンの飛ぶ姿を久々に見る。バンはとても臆病で、いつもはちょっとでも近づくとスッと逃げていくのに、きょうは平気でそばまで来る。エサを求めているのだろうか。ひょっとして子育て中で、ヒナのためのエサ探し中なのだろうか。

上池に戻ると、池の上にせりだしたコブシの枝にゴイサギが1羽。葉陰から獲物を狙ってジッとしている。われわれもジッと様子を窺う。やがて首を伸ばし、ピュッと水面にクチバシを突き刺す。獲物を捉えたのか、しきりにモグモグやっている。
ふだんはずんぐりむっくりしているゴイサギだが、意外と首が長くなるものだ。生きるための進化の印なのだろう。
ゴイサギは漢字では「五位鷺」と書く。平安時代醍醐天皇が池のほとりに立つ鳥を捕らえるよう命じたところ、神妙に捕らえられたので、鳥ながらアッパレと五位の位を与えた、と『平家物語』に出ていて、それが名前の由来なのだそうな。

上空を見上げる。コアジサシはまだやってこない。
(写真のあとに追加あります)

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以下、『平家物語』巻第5より
延喜の帝(醍醐天皇)が神泉苑行幸なさって、池の水際に、鷺がいたのを六位の蔵人をお召しになって「あの鷺を捕らえて参れ」と仰せになられた。
蔵人はどうやって捕らえようかと思案したが、綸言なので歩いて行く。
すると鷺は今まさに羽を整えて飛び立とうとしているところで、「宣旨である」と言うと鷺は平伏して飛び立つことを止めた。
そこで蔵人は鷺を捕まえ、天皇の前に差し出したところ、天皇は「宣旨に従って参るとはたいへんに殊勝なことである。すぐに五位にしてあげなさい」というので鷺を五位になされた。
さらに「本日ただいまより、お前は鷺の中の王となるべし」という札をお書きになって、その鷺の首にかけてお放しになられた。
天皇は鷺がご入用だったのではなく、ご自分の権威がどれほどのものかを示そうとしたのだった。

なお、天皇の日常生活の場である清涼殿に昇ることを許された者を「殿上人」といって、五位以上でないといけなかった。つまり、五位とはけっこう高い身分だったのである。