善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

マン・レイ「ひとで」とコクトー「詩人の血」

銀座エルメスビル10階のプライベートシアター「ル・ステュディオ」。
8月のテーマは「アヴァンギャルドの眼差し」。
というわけでマン・レイ監督の「ひとで」、ジャン・コクトー監督の「詩人の血」を観る。 
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マン・レイ1890年生まれ、ジャン・コクトー1889年生まれで、同時代に活躍した。
映画はいずれもモノクロで、マン・レイの「ひとで」は1928年の作品。15分の短いものだが、原題は「L' ETOILE DE MER」。フランスではヒトデのことを「海の星」といってるらしい。
映画の冒頭、「この作品をピサネロとマンテーニャに捧げる」という文字があらわれる。
ピサネロもマンテーニャも15世紀に活躍したイタリアの画家で、特にピサネロのファンとしては何ともうれしい賛辞。
マン・レイの作品は写真や彫刻は見たことがあるが、映画は初めて。
歪んだガラス越しの世界。夢の中のようで、現実のようで。人はそこで生きている。
 
もうひとつの「詩人の血」(原題LE SANG D'UN POETE)は1930年の作品で、上映時間51分。コクトーの初監督作品にしてアヴァンギャルド映画の古典的名作といわれる。
4つのエピソードで構成される幻想映画。
最初に工場の煙突が崩れ始めるシーンがあって物語が始まり、映画の最後には煙突は完全に崩れ落ちる。その間の一瞬を描いたのか。その一瞬の中で、創作の苦しみの中にある詩人があてどなく彷徨している。