8月のテーマは「アヴァンギャルドの眼差し」。


映画の冒頭、「この作品をピサネロとマンテーニャに捧げる」という文字があらわれる。
ピサネロもマンテーニャも15世紀に活躍したイタリアの画家で、特にピサネロのファンとしては何ともうれしい賛辞。
マン・レイの作品は写真や彫刻は見たことがあるが、映画は初めて。
歪んだガラス越しの世界。夢の中のようで、現実のようで。人はそこで生きている。
4つのエピソードで構成される幻想映画。
最初に工場の煙突が崩れ始めるシーンがあって物語が始まり、映画の最後には煙突は完全に崩れ落ちる。その間の一瞬を描いたのか。その一瞬の中で、創作の苦しみの中にある詩人があてどなく彷徨している。