善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

ポルトガルの旅 その4 コインブラのファドに酔う

ポルトガルの旅5日目はリスボンを去ってコインブラに向かう日。
コインブラリスボンポルトの中間に位置し、“学びの町”として知られるポルトガル第3の都市。町の中心部、丘の上にあるコインブラ大学はポルトガル最古、ヨーロッパでも屈指の歴史を誇る大学だ。大学の建物群は世界遺産に登録されているというのだからスゴイ。

朝早く起きて宿で朝食をとり、7時半にチェックアウト。アパートの一室なのでフロントなんてないので、カギを置いて部屋を出ればそれでチェックアウト完了。
Uberを呼んでバスターミナルへ。8時半発の高速バスでコインブラに向かう。
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11時ちょっと前にコインブラのバスターミナルに到着。そこから荷物をゴロゴロ転がしてコインブラの鉄道駅すぐそばの「Hotel Vitoria(ホテル・ビィトリア)」にチェックイン。

ホテルの窓から見た街の風景。
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身軽になってホテル近くの「Casa Chelense」というレストランというより地元の食堂といった感じの店で昼食。
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素朴な味のスープにホッとする。
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街並み。
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その後、日本で予約しておいたファドのチケットをゲット。
今回の旅の楽しみの1つがここでファドを聴くことだった。
ポルトガルに行くことになって司馬遼太郎の「街道をゆく・南蛮のみちⅡ」を読んだ。
彼はスペインから陸路でリスボン→南端のサン・ヴィンセンテ岬とたどっていったが、コインブラには立ち寄らなかった。
リスボンで女性が歌うファドを聴いたがあまり感心しなかったらしい。そのとき彼はコインブラには男性が歌うファドがあると聞き「ぜひ聴きたい」と思ったものの果たせないまま日本に帰った。
それなら司馬遼太郎に代わってコインブラのファドを聴こうと思ったのだった。

旧カテドラル。
11世紀に建てられた建物でなかなかの威容だ。
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建物内部のアズレージョ
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丘を上った先には新カテドラル(新といっても16世紀に建てられた)があり、そこには日本人で初めてヨーロッパの地を踏み、ローマ教皇とも面会した洗礼名ベルナルドの墓があるのだが、時間がなくて行けなかったのは残念。

丘の上にあるのがコインブラ大学。
何かの行事があるのか、学生たちが大勢集まっていた。
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ここの学生たちは黒マントを羽織るのを伝統にしているそうだが、この日は暑かったためか脱いでいる学生も多かった。

大学内を見学するにはチケットが必要で、科学博物館、王宮、サンミゲル礼拝堂などを見て、ジョアニナ図書館へ。
講義室。日本の大学の講義室とも似ている。
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科学博物館で見た鳥類の骨格標本
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ここにもアズレージョ
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大学の数々の儀式を執り行う「帽子の間」の天井。
もともと大学は初代王朝の王宮につくられたもので、この部屋は王宮時代に玉座があったところ。
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窓から見下ろすと大学が丘の上にあるのがわかる。
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大学のバルコニーから見たコインブラの家並み。
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ジョアニナ図書館は豪華絢爛でまばゆいばかり。“世界一美しい図書館”といわれ、エマ・ワトソン主演の映画「美女と野獣」のモデルになったというが、撮影は禁止。

18時からは「Fado au Centro」(ファド・センターの意味か)で男声のファドを聴く。
リスボンのファドのように酒を飲みながらではなく、小さいながらもコンサート会場でキチンと座って聴く。最前列の席をゲット。
メンバーは黒マント姿のイケメン揃いで、リスボンで聴いたのとはまるで違う。恋する女性に捧げるセレナーデといった感じで、メロディーは甘く、切ない。
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ファドの発祥はリスボンの下町で、庶民の歌として広まった。リスボンファドはおもに女性の心情を歌うのに対し、コインブラファドの歌い手は男性のみ。もともとはコインブラ大学の学生が好きな女の子に愛を打ち明ける歌として始まったという。「Fado au Centro」の奏者もスタッフもコインブラ大学の元学生か現役学生という。
ホントかウソか知らないが、その昔、男子学生が夜こっそりと想いを寄せる女の子の家に行って窓の下で歌い、聴いた女の子が歌と男性を気に入ったら電気をつけたり消したりを3回繰り返して恋愛成就となったんだとか。

ファドを堪能したあとは、中庭にポルトワインが用意されていて一杯飲む。ついでにCDを購入し、サインもしてもらう。

ファドのメロディーを耳に残しながら夕暮れの街をそぞろ歩く。
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歩いている途中でみつけたバカリャウ専門店の「Solar do Bacalhau」という店で夕食。
飲んだワイン。
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ただしこの店、地元民向けのファミレスといった感じで、バカリャウはちょっとマヨネーズが強すぎ。河岸を変えようと別の店を探すが満席だったりしていい店がなく、それならと、泊まったホテルのレストランへ行く。
泊まったホテルのレストランって、たいがいがあんまり期待はできないのだが(安宿ということもあるが)、ここのホテルはなかなかグーだった。
白ワインを頼んだら安直に保冷剤に包まれて出てきたが、「こんな便利なのがあったのか!」と逆にカンドーしてしまった。
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イワシの塩焼き。
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この店で飲んだDouroのワインはけっこういける味。
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フルーツのデザートもおいしかった。
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ここのオジサンシェフ、マジックが上手で、いろんな手品を見せて笑わせてくれる。
マジックでわれわれを喜ばしているのを後ろで見ていた若いウェートレスが、「またやってるわ」という感じで笑っている姿がほほえましかった。

オジサンシェフがナプキンでつくった鳥?
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翌朝、ホテルをチェックアウトするときもオジサンシェフが朝早くから来て会計から何からやってくれたから、ただの雇われシェフではなくてオーナーシェフだったのかもしれない?

いずれにしろわれわれが泊まったHotel Vitoriaは、駅に近いし、レストランのオジサンシェフはフレンドリーだし、そのうえ安いし、オススメです!