善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「怪談」

このところイタリアワインをよく飲む。
きのう飲んだのはトスカーナの赤ワイン「サンタ・クリスティーナ・ロッソ(SANTA CRISTINA ROSSO)2014」
イメージ 1

サンジョヴェーゼ60%、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー40%。
余韻にしなやかなタンニン、果実の味わい。

その前に飲んだのはヴェネト州の赤ワイン「コルテ・ジャーラ・メルロ・コルヴィーナ(CORTE GIARA MERLOT CORVINA)2015」
イメージ 2

メルロ60%、コルヴィーナ・ヴェロネーゼ40%。コクのある味わい。

ワインの友で見たのはNHKBSで夜中に放送していた「怪談」。
1965年(昭和40年)公開の日本映画。文芸プロダクションにんじんくらぶ製作、東宝配給。
監督は小林正樹。3時間に及ぶ大長編。
といっても小泉八雲原作の「怪談」に収録されている「黒髪」「雪女」「耳無芳一の話」「茶碗の中」の4つの怪談話を映画化したオムニバス作品なので1つ1つは比較的短い。
構想に10年を要し、9カ月の撮影期間と多額の予算をかけて製作された。しかし興行収入ははかばかしくなく、にんじんくらぶは倒産の憂き目にあったとか。

子どものころ、有楽町の劇場で見た記憶があるが、「耳無芳一の話」が一番怖くて、いまだに記憶に鮮明だ。

スタッフ・キャストが豪華絢爛。
監督の小林正樹を筆頭に、脚本・水木洋子、撮影監督・宮島義勇、音楽音響・武満徹、題字・勅使河原蒼風、タイトルデザイン・粟津潔。それに美術・戸田重昌、録音・西崎英雄、色彩技術顧問・碧川道夫。
キャストは、「黒髪」が三国連太郎新珠三千代渡辺美佐子、石山健二郎、赤木蘭子、北原文枝、松本克平ほか。
「雪女」が仲代達矢岸惠子望月優子菅井きん千石規子、野村アキ子、浜田寅彦、浜村純。
「耳無芳一の話」は中村賀津雄、丹波哲郎志村喬林与一村松英子田中邦衛北村和夫中谷一郎友竹正則花沢徳衛、夏川静枝、北城真記子、桑山正一、宮部昭夫、長山藍子ほか。
「茶碗の中」が中村翫右衛門滝沢修杉村春子中村鴈治郎仲谷昇宮口精二佐藤慶奈良岡朋子神山繁田崎潤織本順吉小林昭二天本英世玉川伊佐男ほか。

今は亡き人が多い。出てくる人出てくる人がなつかしくてなつかしくて・・・。

「茶碗の中」の中村翫右衛門前進座創立者の一人。梅之助の父親で、梅雀の祖父だ。
もう戦前の話だが、翫右衛門は梅雀という役者の次男で、五世中村歌衛門のもとで下積みの修行をつんだ。芸のうまさは早くから評価されていたが、なかなかいい役はつかず、逆境の日々が続いたという。
そしてついには同じ屈折した若い役者たちとともに、封建的で旧態依然とした歌舞伎界を批判して松竹を脱退。師匠からは破門され、前進座を結成した。
前進座結成時の中心メンバーは、翫右衛門30歳、河原崎長十郎29歳、河原崎国太郎に至っては22歳の若さだった。

なんでこんなことを思い出したかというと、先日、歌舞伎座の「野田版・桜の盛りの満開の下」で中村芝のぶの芸のうまさを見たばかりだったからだった。
彼は梨園の生まれではない。国立劇場の歌舞伎俳優研修をへて歌舞伎役者になった。七代目中村芝翫に入門して芝のぶを名乗る。先日の芝居でもいい演技をしていたが、あまり舞台で見ることはない。出ても隅っこの役ばかり。御曹司じゃないとなかなかいい役はつかないのだ。
歌舞伎は伝統芸であるからして、一子相伝の芸も大切だろう。しかし、可能性のある役者にもっとたくさんのチャンスを与えてほしいと思ったのだった。