善福寺公園めぐり

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シャセリオー展

上野の国立西洋美術館で開催中の「シャセリオー展」を観る。
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シャセリオーは19世紀のフランスの画家。11歳でアングルに認められて弟子になり、16歳でサロンに初出品。以後、アングルの優美な線描の芸術を受け継ぎつつも、ロマン主義芸術への傾倒から独自の道を探求。37才で急逝した。

16歳のときに描いた自画像から、繊細な人物であったことがうかがえる。
当時のパリで最も美しい女性といわれた「カバリュス嬢の肖像」など、肖像画がどれも秀逸で、モデルの特徴を生き生きと描いている。
ニンフを描いた作品は、裸のニンフの小さな胸がいとおしく感じる。
アルジェリアを旅して以降のオリエンタルチックな絵の数々は、家族の日常的情景がされりげなく描かれている。

しかし、何よりシャセリオーが短い画家生命をかけて取り組んだのは壁画制作だっただろう。
オルセー河岸の会計検査院などの天井や壁の装飾に取り組んだが、会計検査院の作品はパリ・コミューンの騒ぎの中で破壊され、断片しか残っていないという。
その断片や資料が展示されていたが、当時の作品はさぞすばらしかっただろうと想像できる。

オーストリアの画家クリムトによって描かれた「ベートーヴェン・フリーズ」という壁画作品は、もともと展覧会開催中に限る展示だったため、展覧会後は解体されて壁から取りはずされたが、第2次大戦後、オーストリア政府が買い戻して修復。公開されていて、ウィーンを旅したときに見て感動したものだ。

クリムト作品とは残存の度合いが違うだろうが、修復は難しいのだろうか?