善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

「丸前角向」のナゾ

きのうテレビの料理番組を見ていたら、弁当の盛りつけ方の話が出ていて、弁当にも正面というものがあるということだったが、では曲げ輪っぱのような丸い器に料理を盛るときはどーしたらいいかという話になった。

すると、丸い器にも前と後ろ(正面と裏面)とがあって、「丸前角向(まるまえかくむこう)」という和の作法があるんだそうだ。

つまり、曲げ輪っぱのような曲げ物(器)の盛り方では、円形の場合は綴じ目を手前に向け、角型の器では綴じ目を向こう側にするのが決まりなんだそうだ。

「へーっ」と思って「丸前角向」について調べてみると、茶道でもこの作法があり、もともとのいわれはどこからきているかというと、陰陽の考えに基づいているのだという。

そもそも陰陽道においては、丸の形は途絶えることがないエンドレスに流れる図形であり、丸は天をあらわし「陽」であり、一方、四角の形は四方で流れを留める図形であり、地をあらわし「陰」なのだという。

そこまではナルホドと何となく納得がいくのだが、問題はそこから。
客に対しては「陽」の方向で出す必要があるため、丸い器は綴じ目を手前にすると「陽」になり、逆に角のある器は綴じ目を向こう側にすることで「陰」が転じて「陽」になる、ということであった。

丸い器の場合、綴じ目があるほうが「陽」ということだが、なぜ綴じ目があると「陽」なのか?
その辺はちょっと不明だが、ひとついえるのは秋田名産の「曲げわっぱ」などを見ると綴じ目のところは「美しい」ということだ。
曲げわっぱの場合、わっぱを接着した部分はサクラの皮で縫い留めているそうだが、とても美しく仕上がっている。その美しさを見せるため、綴じ目を正面としているのではないか。

一方、四角い座布団にも正面があって、よーく見ると4辺のうち3辺は一直線に縫い目があるけど1辺だけ縫い目がなく、その縫い目のない辺が正面なのだそうだ。
これも美しいほうを見せるためという気もするが、やはり陰陽道の決まり事が生きているのだろうか。