土曜日朝の善福寺公園は快晴。風が冷たい。
上池ではマルちゃんらしいオスのカワセミ。
下池に回ると、コゲラが数羽でやってきて、木を登っていく。
コゲラは日本で一番小さなキツツキ。春から夏にかけては葉っぱについている虫を食べるが、冬には木の幹をつついて中に潜んでいる虫を捕らえて食べる。
ギーギーと鳴きながら木登りをするので、わかりやすい。
漢字で書くと小啄木鳥。
木を啄(ついば)む小さな鳥という意味だろうが、「コ・ゲラ」で「小・啄木鳥」と書くのだから、「啄木鳥」は「ゲラ」となるはずだが、ふつうはキツツキのことを漢字で「啄木鳥」と書く。
ゲラとキツツキ、どう違うのか?
もともとはキツツキのことをテラツツキと呼んでいた。
平安時代初期の本草書「本草和名」(918年ごろ)には「寺啄(てらつつき)」の記述がある。
鎌倉時代の私家集「壬二集」(1245年)に次の歌。
「ふりにける杜の梢にうつりきてあかずがほなるてらつつき哉」
そのころは、お寺などの古い木造の建物をよくつつくことから、寺を啄(ついば)む鳥というので「寺啄」と呼ばれていたのだとか。
いつの世からか、「テラ」ではなく「ケラツツキ」と呼ばれるようになった。
コゲラは好きでお寺などの建物をつついているのではなく、木の中に潜んでいる虫(ケラ)などを探そうとつついているのだから、「テラ」ではなく「ケラ」がよかろう、というので「ケラツツキ」となったのだろうか。
そのうちツツキは省略されて「ケラ」だけが残り、小さいから「コゲラ」、後頭部が赤いから「アカゲラ」と呼ばれるようになっていった。
同時にキツツキの呼び名も残され、どうやら「ケラ」と「キツツキ」は併用されて今日に至っているようだ。
学名は「Dendrocopos kizuki(またはPicoides kizuki)」。
「kizuki」とは地名で、本種を記録した際の標本の採集地が大分県杵築市だったことからつけられたといわれる。
キツツキとツツキ、なぜか語感が似ているが偶然か。
英名は「Japanese Pygmy Woodpecker」で、「日本にいる小さなキツツキ」の意味だそうだが、本種は日本だけでなく東アジアに生息している。
上池にも戻ると、今度はシローくんらしいオスのカワセミ。
水面をジッとにらんで小魚を探している。
コゲラは頭ボサボサで、いつも“利かん坊”を連想してしまうのだが、カワセミは水中にダイブして小魚をゲットするためか坊主頭みたいに見える。