善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「ラスト・シューティスト」「ザ・クーリエ」

チリの赤ワイン「サンタ・ディグナ・メルロ グラン・レゼルヴァ」(SANTA DIGNA MERLOT GRAN RESERVA)2022」

スペインのトーレスがヨーロッパの伝統と技術を用いてチリでつくるワイン。

チリの中央部に位置するセントラル・ヴァレーの温暖な沿岸部から冷涼なアンデス山脈近くまでの、いくつかの異なる気候の畑で育ったメルロをブレンド

全体の70%をフレンチオークで6カ月間熟成させたのちに瓶詰めされたのだとか。

メルロらしくまろやかで、やさしい味。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたアメリカ映画「ラスト・シューティスト」。

1976年の作品。

原題「THE SHOOTIST」

監督ドン・シーゲル、出演ジョン・ウェインローレン・バコールロン・ハワード、ジェームズ・ステュアート、リチャード・ブーン、ジョン・キャラダインほか。

がんを宣告され、余命幾ばくもない老ガンマンの最後の7日間を描く。本作から3年後、やはりがんで亡くなったジョン・ウェインの遺作となった西部劇。

 

1901年1月22日、かつての名うてのガンマン、J・B・ブックス(ジョン・ウェイン)がネバダカーソンシティに戻ってきた。旧知の医師(ジェームズ・ステュアート)から末期がんの余命宣告を受けた彼は、未亡人のロジャース夫人(ローレン・バコール)が経営する下宿屋に終の住処を求めたのだった。

ブックスがカーソンシティに滞在していることはたちまち知れ渡り、かつての仇敵たちやひと儲けを目論む者たちが集まって来る。やがて自らの死期を悟ったブックスは、自分を狙う4人の男たちに宣戦布告。早朝の酒場で、最後の意地を賭けた銃撃戦が始まる・・・。

 

原題の「THE SHOOTIST」とは射撃手、要するにガンマンのこと。

本作は、伝説のガンマンの物語であるとともに、西部劇に名を残した俳優ジョン・ウェインの物語であり、そして西部劇の終焉の物語でもある。

映画は冒頭、ブックスのヒストリーをモノクロ映像で見せるが、いずれもジョン・ウェインの出演作「赤い河」「ホンドー」「リオ・ブラボー」「エル・ドラド」といった彼が主演の映画の名場面。

ウェインはすでに64年に肺がんの切除手術を受けていた。その後、胃にもがんが見つかり、本作から3年後の79年1月に手術を受けたが、同年6月に亡くなった。彼のがんの原因のひとつとして、核実験場の近くでの映画の撮影により彼の体が蝕まれていたのではないかともいわれている。

本作への出演が決まったときからすでにウェインは覚悟を決めていて、俳優としての最後を飾るつもりで撮影に臨んでいたのかもしれない。そんなウェインを気づかってか、ウェインより1歳年下のジェームズ・ステュアートが医師役で出演している。

ほかにも懐かしい顔ぶれ。

ローレン・バコールはハリウッド黄金時代を代表する女優だし、本作のときまだ20歳すぎでローレン・バコールの息子役をしていたロン・ハワードはのちに映画監督となり「ビューティフル・マインド」や「ダ・ヴィンチ・コード」などをつくっている。リチャード・ブーン、ジョン・キャラダインはともに西部劇でウェインと共演していた。

そして本作が製作された1976年とは、50年代から60年代にかけて全盛だった西部劇が終わりを迎えたころだった。

「ラスト・シューティスト」という邦題は、まさしく“最後のガンマン映画”とでもいってるみたいで、本作のチラシのキャッチコピーも、「大いなる西部はその男の最後の闘いとともに終った」というものだった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のCSで放送していたイギリス映画「ザ・クーリエ」。

2019年の作品。

原題「THE COURIER」

監督ザッカリー・アドラー、出演オルガ・キュリレンコ、アミット・シャー、ゲイリー・オールドマン、ウィリアム・モーズリーダーモット・マローニーほか。

かつてシリアで壊滅作戦に従事した元特殊部隊員の女(オルガ・キュリレンコ)は、戦地で兄を失い、表舞台から姿を消して裏社会の運び屋(クーリエ)としてひっそりと生きていた。ある日、彼女は仕事中に、巨大犯罪組織のボスであるマニングス(ゲイリー・オールドマン)に命を狙われた殺人事件の目撃証人ニック(アミット・シャー)を救う。生き残るため、再び銃を取る彼女だったが・・・。

 

いくら元特殊部隊の隊員だったといっても、犯罪組織の筋肉隆々の殺し屋軍団を相手に孤軍奮闘し、次々とやっつけていくのは、痛快ではあるもののできすぎの感あり。ま、映画だからと自分に言い聞かせて観る。

もう一方の敵役のゲイリー・オールドマンは、寝間着?姿で立ったり座ったりするだけの演技で、七転八倒しながら生きるか死ぬかの体当たり演技をしているオルガ・キュリレンコとは雲泥の差。これで高いギャラ払うの?と思ってしまうが、逆にいえば、ただ立ってるだけで存在感を示せるところがゲイリー・オールドマンなのかもしれない。

 

殺人現場を目撃した証人の役で出ているアミット・シャーはイギリスの俳優だが、祖父母がインドのグジャラート出身というインド系。そういえば前のイギリス首相リシ・スナクも、両親がともにインド系で、イギリス初の非白人およびインド系首相だった。イギリス映画ゆえにインド系の俳優の活躍の場は多いのかもしれない。

何しろインドは長い間イギリスの植民地だったし、優秀な人材も多く、人口も増えていて中国を抜いて世界一になるほどだから、あり余る人材がかつての宗主国イギリスに流れていくのもわからないでもない。

次のアメリカ大統領になるかもわからないカマラ・ハリス副大統領も、父親はジャマイカ出身の経済学者で、母親はインド出身のがん研究者だという。