善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「イン・ザ・ハイツ」「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

フランス・ロワール地方の赤ワイン「カベルネ・フラン(CABERNET FRANC)2020」

フランス北西部に位置するロワール地方で200年の歴史を持つ老舗の家族経営ワイナリー、ファミーユ・リューボーのカベルネ・フラン100%のワイン。

現在の当主は5代目で、一家全員でワイナリーの運営にあたっているとか。

「素晴らしいワインは素晴らしいブドウから始まる」という哲学のもと、自然を尊重したワイン造りに徹しようと2015年からブドウ園を有機栽培に転換し始め、現在はフランスのサステナビリティ認証機関であるテラ・ヴィティスから認証を取得。自然環境に配慮したブドウ栽培を行っているという。

そういわれてグラスを傾けると自然の風味が漂ってくるような・・・。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたアメリカ映画「イン・ザ・ハイツ」。

2021年の作品。

原題「IN THE HEIGHTS」

監督ジョン・M・チュウ、出演アンソニー・ラモス、メリッサ・バレラ、レスリー・グレイス、コーリー・ホーキンズ、グレゴリー・ディアス4世ほか。

2005年に初演され08年のトニー賞で作品賞など4部門を制した同名のミュージカルを映画化。

 

ニューヨーク・マンハッタンの最北部に位置するワシントンハイツ地区。ドミニカやプエルトリコとったカリブ海の国などラテン系の移民とその子孫が多く住む街で、ドミニカ系移民で小さな食料雑貨店を営むウスナビ(アンソニー・ラモス)は、アメリカでの暮らしをやめて祖国ドミニカに戻ろうとしていた。

そんな彼には、近所の美容室で働きながらファッションデザイナーをめざすヴァネッサ(メリッサ・バレラ)、ウスナビのいとこで毎日をだらだらとすごすソニー(グレゴリー・ディアス4世)など、さまざまな仲間がいた。そこへ、地区住民の希望の星としてスタンフォード大学に進学したはずのニーナ(レスリー・グレイス)が、問題を抱えて帰って来た。

やがて、真夏に起きた大停電の夜、彼らの運命は大きく動き出す・・・。

 

黒人が多く住み、かつて“治安の悪い危険な町”といわれたハーレムの、さらに北にあるのがワシントン・ハイツ。ラテン系移民が多く住み、通りにはスペイン語の看板が並び、いつもラテン音楽が流れている。

そんな街を舞台にした、「ウエスト・サイド・ストーリー」などのハリウッド・ミュージカルに、大画面いっぱいに歌って踊りまくるインドのボリウッド・ミュージカルを掛け合わせたような映画。

不法移民も多く住み、失業中の若者も多いが、彼らは夢を抱いて生きている。

根っから明るい彼らの陽気な歌とダンスであふれている街でもあり、おそらく実際にワシントン・ハイツでロケしたと思われる、道路を一面占拠しての歌とダンスが圧巻の映画だった。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のCSで放送していたアメリカ映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」。

2019年の作品。

原題「A RAINY DAY IN NEW YORK」

監督・脚本ウディ・アレン、出演ティモシー・シャラメエル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウディエゴ・ルナリーヴ・シュレイバーほか。

ペンシルべニアの小さな大学に通うギャツビー(ティモシー・キャラメ)とガールフレンドのアシュレー(エル・ファニング)は、ニューヨークでロマンチックな週末をすごそうとしていた。きっかけとなったのは、アシュレーが学校の課題で有名な映画監督ローランド・ポラード(リーヴ・シュレイバー)にマンハッタンでインタビューするチャンスに恵まれたことだった。

生粋のニューヨーカーで資産家の息子のギャッツビーは、アリゾナ生まれのアシュレーにニューヨークの街を案内するためのさまざまなプランを詰め込む。しかし、その計画は突然降りだした雨の中で狂い出し、思いもよらないさまざまな出来事が巻き起こってしまう・・・。

 

実はこの映画、製作されたもののアメリカでは上映されなかった。

その理由は、2017年に起きた映画プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ行為や性的暴行への告発に端を発する#MeToo運動の中で、本作の監督のウディ・アレンに対しても、彼の過去の自分の養女への性的虐待容疑(証拠不十分で不起訴となっていたらしい)が再び問題となったからだ。

本作の出演者の一人が「この作品に出演したことを後悔している」と発信して今後はアレンと仕事をしないと宣言。これに続いて本作の主要な出演者たちも出演料をセクハラ被害者の支援団体に寄付するなど抗議の意思を示した。

こうした動きを受けて、製作会社がアメリカでの上映を中止することを決定。結局、アメリカでは上映されず、ポーランドやフランスなどヨーロッパや日本などでの上映にとどまることとなった。

 

ウディ・アレン性的虐待の件は、告発者は「事実」といい、アレンは「そんなことしてない」と否定しているというから真偽のほどはわからない。しかし、本作を観た感想をいえば、男にとっての古きよき時代を懐かしむような、男目線の映画だなー、というもので、主人公の青年はギャンブラーで遊び人だけど実直で、彼のガールフレンドは有名監督の誘いに簡単に乗っちゃうような軽薄な女性という描き方は、彼の旧ハリウッド型の女性観がわかるような映画だった。

「名は体を表す」という言葉があるが、「映画はその人の“本性”を表す」ということか。