善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「FALL フォール」「大脱出」

ドイツの白ワイン「ラインガウス リースリング・フォルラーツ(RHEINGAU RIESLING VOLRATZ)2022」

ドイツ・ラインガウにおける最古のワイナリーの一つであるシュロス・フォルラーツの白ワイン。ブドウの透明感ある味わいを最大限引き出した美しい仕上がりが特徴で、ラインガウを代表する品種リースリングのよさがぎゅっと詰まった「お手本」ともいえるスタイル、と宣伝文句にあり。

 

ついでにその前に飲んだワイン。

チリの赤ワイン「ヒューソネットカベルネ・ソーヴィニヨン(HUSSONET CABERNET SAUVIGNON)2020」

イタリアの名門アンティノリがチリで手掛けるワイナリー、アラス・デ・ピルケのワイン。アラス・デ・ピルケは競走馬を育てる牧場とワイナリーを兼ねていて、この牧場で種雄馬生活を送っていた名馬「ヒューソネット」にあやかり、名づけられた。

自社畑の厳選した区画で栽培した高品質なブドウから仕立てるシリーズ。赤・黒系果実のアロマ、フレッシュな果実味とミネラル感や土の風味が混ざり合う、複雑な味わい。

 

ワインの友で観たのは、民放のCSで放送していたイギリス・アメリカ合作の映画「FALL フォール」。

2022年の作品。

原題「FALL」

監督スコット・マン、出演グレイス・フルトン、ヴァージニア・ガードナー、メイソン・グッディング、ジェフリー・ディーン・モーガンほか。

地上600メートルの超高層鉄塔に取り残された2人の女性の運命を描いたサバイバルスリラー。

 

山でのフリークライミングの最中に夫・ダンを落下事故で亡くしたベッキー(グレイス・フルトン)は、悲しみから抜け出せず1年が経とうとしていた。ある日、ベッキーを立ち直らせようと親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が新たにクライミングの計画を持ちかけてくる。

今は使われていない地上600mのモンスター級のテレビ塔をターゲットとして選んだ彼女たちは、老朽化で足場が不安定になったハシゴを登り続け、なんとか頂上へと到達することに成功。そこでベッキーは夫の遺灰を空から撒くことで、彼を偲び、新たな1歩を踏み出す決意を示すが、それもつかの間、ハシゴが崩れ落ち、2人は鉄塔の先端に取り残されてしまう・・・。

 

ハンパない緊迫感が連続の映画。

始まって早々に2人は600mの高さの鉄塔の先端に立つが、物語はそこから始まる。

鉄塔の途中までは三角形の鉄枠の中にハシゴがあるのでのぼっていくが、途中から太い鉄製のポールだけとなって、そこに外付けのハシゴがついていて、そのハシゴが老朽化していて崩れ落ちてしまい、何とか2人で座れるだけの狭いプラットホームに取り残される。

ハシゴがなければ鉄製のポールを降りていくことはできない。持参したロープは短くてとても届かない。

スマホで連絡をとろうとするが、アンテナからの電波干渉で信号が遮断されて電波は届かない。

物語のほぼすべては鉄塔のテッペンに取り残された2人の女性の悪戦苦闘が描かれるのだが、これがなかなか怖くてハラハラさせて、緊迫感の連続。ついつい引き込まれてしまう、よくできた映画だった。

 

引き込まれる理由がわかった。

こうした映画はだいたいがCGが多用されていて、「すごいなー、よくできてるなー」と感心はしても、非現実すぎてリアルさは乏しいものだが、本作にはそれがない。

監督は、もちろんCGは使っているものの実写によるリアルな表現にこだわったそうで、2人の演技は室内につくったセットでのものではなく、撮影のために600mの高さの崖を探し、その崖の上に塔の最上部として高さ20mの塔を実際に建設。2人は野外にできたこの塔で演技して、高さ600mのリアルな状況をつくり出したという。

実際の野外での演技のため2人の役者にはスタントマンのオファーもあったが、彼女らは自分でスタントを行うことを選択。本当に600m上空の鉄塔の上での演技という感じで、その役者根性やスゴイ。

 

ちなみに、物語はフィクションだが、モデルとされた鉄塔は実在していて、2000年に米国カリフォルニア州に建てられた高さ625mのテレビ用支線式鉄塔KXTV/KOVRタワー(別名サクラメント・ジョイント・ベンチャー・タワー)がそれ。同州では最も高い建造物であり、東京の東京スカイツリー(634m)も含めて史上7番目に高い建造物だとか。

 

ついでにその前に観た映画。

民放のCSで放送していたアメリカ映画「大脱出」。

2013年の作品。

原題「ESCAPE PLAN」

監督ミカエル・ハフストローム、出演シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガージム・カヴィーゼルほか。

アクションスターの2大巨頭、シルベスター・スタローンアーノルド・シュワルツェネッガーが初めて本格ダブル主演した作品で、最新のセキュリティで固められた監獄から脱出を図る男たちの姿を描くサスペンスアクション。

 

自ら脱獄してみせることで刑務所内の警備上の弱点を指摘するセキュリティーコンサルタントであるレイ・ブレスリンシルベスター・スタローン)に新たな仕事の依頼が舞い込む。

それはCIAからの依頼で、連邦政府が極秘支援している絶対に脱出不可能とされる非合法の民営監獄であり、報酬も2倍出すという。依頼を承諾したレイだったが、拉致同然に連れて行かれた彼は今まで見たことがない造りの監獄に閉じ込められる。

レイは危険を感じて計画中止のサインを所長のホブス(ジム・カヴィーゼル)に伝えるが、彼は知らないといい、騙されたことを知る。そこには恐るべき陰謀が隠されていた。

脱獄のため監獄の様子を観察するレイに同じ囚人のエミル・ロットマイヤー(アーノルド・シュワルツェネッガー)が話しかけてくる。ロットマイヤーの正体は世界を股にかける義賊であり、彼もまた脱獄したいといい、2人は協力することを約束する。

やがて、監獄の弱点を探し出そうとするレイだったが、監獄の場所は何と、公海上に浮かぶ巨大タンカーだった・・・。

 

本作の公開時、スタローン67歳、シュワルツェネッガー66歳。さすがに寄る年波には勝てずアクションは控えめ。

それでも、脱獄不可能の監獄が実は海に浮かぶ巨大タンカーというのは意表をつくアイデアだった。まわりは360度に広がる大海原。しかも船内の奥深くに閉じ込められているので、世界に広がる7つの海のどこにいるかさえわからない。

そこでレイは、ペンやメガネを使って六分儀をつくり、北極星の高度を調べて緯度を測定し、位置を知ろうとするのだが、北極星を観測するには船の外に出なければならない。

このときレイに味方したのがイスラム教徒の囚人ジャヴェドだった。彼は、せめて一度は外に出てアッラーの方向に向かって祈りを捧げたいというので、空が見える場所での祈りを許される。ジャヴェドは祈りを捧げるフリをして六分儀を使って緯度の割り出しに成功。レイはトイレの水が流れるときの渦の巻き方から、南半球ではなく北半球だというので、自分たちがいる場所を突き止める。

スタローンとシュワルツェネッガーの肉体派俳優がただぶつかり合うだけのアクション映画かと思って観ていたら、さすが年の功というべきか知恵を働かせる場面もあり、なるほどと思うところもあった。