スペインの赤ワイン「プロジェクト・クワトロ・ティント(PROYECTO CU4TRO TINTO)2021」
スペインの土着品種テンプラニーリョをベースにカベルネ・ソーヴィニヨンをブレンド。
「クワトロ・ティント」は、スペイン語で「4」を意味する「cuatro(クアトロ)」が語源のブランド名「CU4TRO」と「赤」を意味する「TINTO」。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたフィンランド映画「過去のない男」。
2002年の作品。
製作・監督・脚本アキ・カウリスマキ、出演マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、アンニッキ・タハティ、ユハニ・ニュミラ、カイヤ・パリカネン、サカリ・クオスマネンほか。
夜行列車でヘルシンキに着いた男M(単に男という意味か、マルック・ペルトラ)。暴漢に襲われて重傷を負い、極貧の一家に拾われて命は取り留めるが、記憶喪失になってしまう。
日雇い労働をして暮らすようになった彼は、救世軍で働く女性イルマ(カティ・オウティネン)と出会い、心を通わせていく・・・。
何とも不思議な映画。
大げさな演技やセリフ回しはなく、出演者はみんな寡黙で無表情で、まるで能舞台のように静かに動き、セリフもボソボソ。実際の人間社会の営みも実はそうなんだろうと思う。
つまりフィクションというよりドキュメンタリーふうなんだが、出演者は明らかに演技しているのでリアル感はない。そこに不思議な魅力を感じる。
監督のアキ・カウリスマキは常に社会の底辺にいる人々を主人公に据え、踏みにじられている人間性とその回復をテーマに描くことが多いという。
本作もそういう映画だった。
フィンランドの歌が次々に歌われていたが、「イスケルマ」と呼ばれるフィンランドのムード歌謡という。
歌っているのは救世軍のマネジャーの役をしていたアンニッキ・タハティ。本職は歌手で、1929年生まれというからこの映画のとき70歳をすぎていて、“フィンランドの淡谷のり子”といわれている国民的歌手らしい。
彼女が歌った「思い出のモンレポ公園」が心に響く。
映画の終わりごろ、なぜか列車の中で主人公のMが熱燗の徳利を傾けながら寿司を食べるシーンがあり、バックに流れる曲がどうも日本語っぽい。よく聞いていると「太平洋に浮かぶ宝石よ」なんて言葉が聞こえてきて、あとで調べたら、日本のクレイジーケンバンドの「ハワイの夜」だった(鶴田浩二が歌う「ハワイの夜」とは違います)。