善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

湯田温泉と秋吉台&グルメの旅

仕事で山口へ。

せっかくだからと湯田温泉で1泊し、翌日は日本最大規模のカルスト地形である秋吉台秋芳洞を観光して帰京。

 

湯田温泉山口県を代表する温泉。山口市にあり、山口宇部空港からだと高速バスで約40分、新幹線の新山口からだとJR山口線で約15分のところにある。

その昔、白狐が毎夜温泉に浸かっているところをお寺の和尚さんに見つかり、田んぼの中から温泉が湧き出ていたというので「湯田」の名がついたとされる。

 

夕食は、瀬戸内海で獲れる魚がおいしいというので宿の近くにある「食菜居酒屋 かくれ家」という店へ。

生ビールのあと、日本酒は山口・岩国の「五橋(ごきょう)」と山口・萩の「長門峡(ちょうもんきょう)」。

 

まずはお通し。筑前煮、ナスの揚げ浸し、下関のえだまめ、メゴチ唐揚げ。

刺身盛り合わせがどれもおいしい。

アボカドと生湯葉海苔巻き。

かくれ家サラダ。

葉わさび。

自家製からすみ。

トウモロコシの天ぷら。

 

翌朝、ホテル周辺を散策。

湯田温泉は明治の元勲・井上馨や詩人の中原中也の出身地で、中原中也の生家は記念館になっている。

漂泊の俳人種田山頭火も一時ここで暮らし、こんな句を残している。

 

ちんぽこも おそそも湧いて あふれる湯

 

宿に戻って朝食。

 

8時48分発のバスで秋芳洞へ。約40分で秋芳洞バスセンター下車。

秋芳洞の入口に向かう商店街にはカッパの像が目立つ。

「禅師かっぱ」の像。

正平9年(1354)干ばつに苦しむ村人を救うため、秋芳洞で雨乞祈願をした寿円禅師と行を共にしたカッパがいて、このカッパを「禅師かっぱ」呼んで大願成就の守り神になっているという。

 

カルスト地形とは石灰岩が水に溶けてつくられた地形をいう。

もともと、秋吉台のふるさとは海にあった。今から3億5千年前ごろ、海底に堆積したフズリナ、サンゴ、石灰藻などの生物の遺骸によってできた珊瑚礁石灰岩となり、それがプレートに乗って移動。長い年月をかけて隆起し、今日のカルスト地形を形づくっていわたといわれる。

石灰岩はおもに炭酸カルシウムという成分からできている。一方、石灰岩台地に降る雨には空気中の二酸化炭素が含まれ弱酸性の水となる。この雨水が石灰岩に触れると化学反応を起こし、石灰岩を少しずつ溶かしていく。

地表を流れる水は石灰岩の割れ目から地下にしみ込み、溶食作用が繰り返されて永い間に凹地(ドリーネ、ウバーレ、ポリエ)や鍾乳洞を形成していく。

現在、観光洞として中に入れる鍾乳洞は秋芳洞のほかに景清洞、大正洞があるが、ほかにも秋吉台の地下にはたくさんの鍾乳洞があり、現地のボランティアの解説員の方にうかがったら、その数450カ所ぐらいあるという。

複雑な地下構造が解明されているのはそのごく一部でしかないようだ。

秋芳洞は古くは「滝穴」と呼ばれていて、大正時代に皇太子(後の昭和天皇)が訪れた際、「秋芳洞」と命名したものの読み方は伝えなかったため、長く「しゅうほうどう」と読まれていたんだとか。

秋芳洞もさらに奥深くたどっていけば延々と長いのだろうが、観光コースは約1㎞。年間を通して17℃、水は15℃と、冬は暖かく、夏は涼しい。

洞内に湧き出る地下水や秋吉台に降り注ぐ雨水が勢いよく外に流れ出ていて、晴れた日には透き通った水面がコバルトブルーに輝いている。

薄暗い洞内を歩いていく。

百枚皿。たくさんの皿を並べたように見えるのでこう呼ばれる。

富士山の形に似た洞内富士。

天井からたくさんの鍾乳石が垂れ下がっている。

大黒柱。滴り落ちる水滴がつくる鍾乳石と、下から上に向かってタケノコ状にのびる石筍がつながって、天井を支えているかのような石柱をつくっている。

上からの鍾乳石と下からの石筍がつながってるようで、まだつながってないのもあった。

つながるのはいつのことか?

 

黄金柱(こがねばしら)。

上から下に流れる地下水が岩肌に付着して大きくなった柱。高さ15m、直径4mあるという。

クラゲの滝のぼり。

 

秋芳洞からエレベーターで地上に出ると、そこは秋吉台

大自然がつくり出したカルスト地形が広がっている。

標高200mから400mほどの起伏に富んだ草原状の台地には、白く露出するカレンフェルト石灰岩柱)がヒツジの群れのように点在している。

景観を保つため、毎年2月には「山焼き」を実施しているという。

 

1カ月ほど前に四国の高知県愛媛県の県境にある四国カルストにも行ったが、だいぶ雰囲気が違う感じがした。

四国カルストでは牛の放牧が行われていたが、秋吉台ではやられていないようだった。四国カルストは標高1400mのところにあるので、その違いがあるのか。

 

秋吉台ジオパークセンター「Karstar(カルスター)」で昼食。

大きな窓から秋吉台を一望しながらアイスコーヒーとジビエ(鹿)のホットドック

 

秋吉台で見つけた生きもの。

ヒカゲチョウの仲間かな。

ひび割れた地面にバッタがやってきていた。

梢で鳴いているのは、ホオジロのようだ。

セミが勢いよく鳴いていた。ミンミンゼミじゃないようだったが、西日本の初鳴きは早いのか、それとも梅雨が早く明けたのでセミもその気になったのか。

 

葉っぱが丸くなっている。

鳥の巣かと思ったら、ヤドリギのようだ。

ほかの木に寄生するものの、完全に寄生するのではなく自分でも葉っぱで光合成して養分をつくり出す半寄生の植物という。

 

帰りは秋芳洞を通って出口へ。

水辺にミヤマカワトンボがたくさんやってきていた。

 

秋芳洞バスセンターから新山口でバスを乗り継いで山口宇部空港へ。

17時40分発のANA便で羽田へ。

ちょうど夕暮れどき。高度1万mの高さで見た雲。

富士山。

雲海の向こうの富士山と、その先は日本海だろうか。

富士山の右に日が沈もうとしている。

真ん中に横たわっているのは三浦半島。その向こうに富士山、沈む夕日。

 

羽田着は19時20分ごろ。

JR西荻窪駅近くのビストロ「山下食堂」で夕食。

ビールのあとはドイツワインの「Weinreich Rot  2018」。

初めて飲むワインだが、ブドウ品種はドルンフェルダー50%、メルロー40%、カベルネ・ソーヴィニョン10%。

ドルンフェルダードイツで1955年に交配され、誕生したブドウ品種で、正式認可されたのは1980年というから、歴史はあまりたってないがフルーティーで柔らかな味わいが人気で、今や伝統品種に劣らない人気だという。

生産者のヴァインライヒはドイツのラインヘッセン地方でワインづくりを行っていて、オーガニックに徹し、醸造も自然発酵を貫いているという。

たしかにバランスのとれたおいしいワイン。ドイツワインを見直した。

 

料理は、まずは桃とマスカルポーネと生ハム。

イワシとフルーツトマトのマリネ。

オイルサーディン、空心菜、青唐辛子のリングイネ

鶏モモ肉のポワレ レモンバターと胡桃のソース。

どれもおいしくて、新しい味の発見もあって、はるばる山口からこのお店の料理とワインを楽しもうと駆けつけてきて、よかった!