善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+映画「SING シング」他

オーストラリアの赤ワイン「ベンチマークカベルネ・ソーヴィニヨン(BENCHMARK CABERNET SAUVIGNON)2019」f:id:macchi105:20220321161742j:plain

オーストラリアの銘醸地、南オーストラリアのバロッサ・ヴァレーで5世代続く醸造家一族のワイナリー、グラント・バージの赤ワイン。

ベンチマークとは「指標」とか「基準」といった意味を持つから、「ワインの基準の味だよ」といいたいのか。

 

ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していたアメリカのアニメ映画「SING シング」。

2016年の作品。

イルミネーション・スタジオ製作による長編アニメーション。

監督ガース・ジェニングス。

マシュー・マコノヒーリース・ウィザースプーンセス・マクファーレンスカーレット・ヨハンソンジョン・C・ライリータロン・エガートン、トリー・ケリーらが声優として出演し、レディー・ガガビートルズフランク・シナトラなどの新旧ヒット曲を劇中で披露するが、きのう観たのは日本語吹き替え版。

 

人間世界とよく似た、動物だけが暮らす世界。コアラのバスターが支配人を務める劇場は、かつての栄光は過去のものとなり、取り壊し寸前の状況にあった。バスターは劇場の再起をかけて歌のオーディションの開催を企画する。

極度のアガリ症のゾウ、ギャングの世界から足を洗い歌手を夢見るゴリラ、わが道を貫くパンクロックなヤマアラシなどなど、個性的なメンバーが人生を変えるチャンスをつかむため、5つの候補枠をめぐってオーディションに参加するが・・・。

 

ここまでCG技術が発達しているのかと関心する出来ばえ。

特に目を見張ったのが光るイカのショーとその後の洪水のシーン。

コアラのバスターは赤字続きの劇場の再起を図ろうと歌のオーディションを企画するが、優勝賞金は1000ドルにしようとしていた(何しろそれしか持ち合わせがない)。ところが、事務員の手違いでチラシに優勝賞金10万ドルと印刷してしまい、おかげで応募者がワンサカ集まる。いまさら「実は1000ドルでした」とはいえなくなって、資金調達のため往年の大女優で大金持ちのヒツジのナナにスポンサーを打診。リハーサルを見てもらうことになり、始まったのが光るイカのショー。舞台に水槽を張り巡らし、バスターの踊りに合わせてイカも見事な動きを見せるのだが、これが美しい。

ところがそこへ、10万ドルの金を奪おうとクマの一団が現れ、水槽のガラスを割ってしまって水がドッとあふれ出し、劇場は崩壊してしまう。噴出する水が洪水のように流れて劇場を飲み込んでいくところは、とてもアニメとは思えず本物そっくり、いや本物以上に迫力満点だった。

しかし考えてみれば、実写映画の洪水シーンも最近はCGに頼っているから、もはやアニメも実写も境目がないのかもしれないが。そうなると、いったい本物とは何?

 

ゾウの少女ミーナの声役のMISIA の歌がすばらしかった。

ジェフ・バックリィの「ハレルヤ」、スティーヴィー・ワンダーの「Don't You Worry 'Bout A Thing」を全身全霊で歌い上げていた。

 

ついでにその前に観た映画。

NHKBSで放送していたアメリカ映画「南部の反逆者」

1957年の作品。

原題「BAND OF ANGELS」

監督ラウール・ウォルシュ、出演クラーク・ゲーブルイヴォンヌ・デ・カーロシドニー・ポワチエほか。

 

南北戦争と奴隷問題を背景に、時代の波に翻弄されていく男女の愛を描くドラマ。

南北戦争直前の南部ケンタッキー州。大農園主の娘アマンサ(イヴォンヌ・デ・カーロ)は、急死した父の葬儀で自分が黒人との混血であることを告げられる。奴隷市場に送られ、好色な買手に売られようとするが、たまたま居合わせた金持ちのヘイミッシュ(クラーク・ゲーブル)は、彼女を守るため高額の値段で身請けし、自宅へともなう。彼女も次第にヘイミッシュの心を理解し、愛情を感じるようになるが、民族意識にもえる黒人の奴隷取締ラウ・ルウ(シドニー・ポワチエ)の秘かな反感を買っていた・・・。

 

南北戦争前のアメリカでは、黒人が白人の所有物として売買されていたことに戦慄を覚えた。たとえ父親が大農園主であろうと、母親が黒人で一滴でも黒人の血が混じっていれば奴隷となって売られていたのだ。だから当時のアメリカの農場主たちは、奴隷の黒人女性に自分の子どもを産ませて奴隷として働かせ、ときには売り渡したりしていたという。

南部の人たちにとって混血は存在せず、白か黒かのどちらかだったのか。黒人は人間ではなく家畜だったので、病気になったときも医者にではなく獣医にみせていたというが、とても信じられない話だ。

 

民放のBSで放送していたアメリカ・イギリス合作の映画「エベレスト」。

2015年の作品。

監督バルタザール・コルマウクル、出演ジェイソン・クラークジョシュ・ブローリンジョン・ホークス、森尚子ほか。

 

1996年にエベレストで実際に起きた大量遭難事故をドラマ化。極力CGを使わず、現地の高地でロケ撮影を敢行してリアルに再現したという。

この遭難事故では、5月10日に起きた嵐の影響で8人の登山家が死亡し、その前後を含めると春の登山シーズン中に12人が死亡した。

かつては国家事業として行われたり、経験を積んだ登山家が何年も綿密な計画を立てて挑んでいたエベレスト登頂も、技術や用具の発達、ルートの確立で難易度が下がるなどもあっただろうが、商業化が進んで、アマチュア登山家向けのツアーも行なわれるなど“身近な山”となってきた。商業化により、お金を払う客のわがままが通るようになり、リーダーが絶対という“山のルール”は無視され、悲劇が起こった。

1996年に遭難した「商業登山隊」の場合、ガイドが3名、クライアントは9名、費用は1人65,000ドル、日本円にして700万円を超えるぐらいの額だったが、隊長とガイドを含めて4人が亡くなっていて、日本人登山家の難波康子さんも命を落としている。

彼女が力尽きて倒れたのは最終キャンプ地からわずか300mのところだったという。猛吹雪の中では300mは永遠ともいえる距離だったのだろうか。