チリの赤ワイン「サンタ・ディグナ・カルメネール・グラン・レゼルヴァ(SANTA DIGNA CARMENERE GRAN RESERVA)2019」
メーンの料理はたまにうれしいときにつくるスペイン料理のポーリョ・コン・アホ(手前中央)。アホとはニンニクのこと。
スペインのトーレスが欧州の伝統と技術を用いてチリで手がけるワイン。
チリの代表品種カルメネールを使用。
古くはフランス・ボルドー地方で栽培されていた品種だというが、現在ではボルドー地方ではほとんど栽培されていない。
チリの風土にピッタリ合ったのか、果実味とコクのある味わいのワインとして知られる。
ワインの友で、NHKBSで2回に分けて放送されたドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」の前編・後編をまとめて観る。
脚本・演出/源孝志、出演/中村勘九郎、上白石萌音、中村七之助、谷原章介、若村麻由美、尾上松也、髙嶋政宏、藤原竜也、笹野高史、石橋蓮司、吉田鋼太郎、段田安則、市村正親ほか。
江戸時代の伝説の歌舞伎役者・初代中村仲蔵(1736-1790)が裸一貫からはい上がる実話をベースとした物語だが、落語の「中村仲蔵」のテレビ版ともいえる。
落語の「中村仲蔵」は八代目林家正蔵の名演が忘れられないが、本作もなかなか味わいのある作品だった。
孤児だった中村中蔵(のちの仲蔵、中村勘九郎)は長唄と踊りの師匠(若村麻由美)の夫婦に育てられたが、やがて中村座の中堅役者・中村傳九郎(髙嶋政宏)の弟子となり、役者修業に励むようになる。
踊りが得意な中蔵は女形の瀬川錦次(のちの初代市川染五郎、中村七之助)らに稽古をつけるなど才能を見せ、座頭の二代目松本幸四郎(のちに四代目市川團十郎、市村正親)の目にも留まるようになっていく。
しかし、病で倒れた父を助けるため、一度は役者を廃業。それでも夢を捨てきれなかった中蔵は、三味線方の娘・お岸(上白石萌音)との結婚後、以前の師匠・傳九郎の許しを請い、「稲荷町」という最下層の役者から再スタートを切ることになるが、待っていたのは壮絶ないじめだった。
そんないじめにもめげず、一心不乱に芸を磨いてメキメキと頭角をあらわしていった中蔵は、ついにはあろうことか「名題」と呼ばれる幹部役者へと昇進。それは、厳しい身分制度の江戸歌舞伎の世界(その伝統?は今も変わってないが)で、前代未聞のできごとだった。
名題となって最初の演目は『仮名手本忠臣蔵』。ところが、中蔵の出世が気に入らない立作者・金井三笑(段田安則)は、中蔵に「弁当幕」と揶揄(やゆ)される五段目にしか出ない、全く見せ場のない地味な山賊役の斧定九郎たった一役を割り当てる。
窮地に追いやられた中蔵。一発大逆転はあるのか?
見応えのある、最後は感動的な作品だった。
忠臣蔵五段目の中村仲蔵の、つまりは勘九郎の斧定九郎。これが一番の見せ場だったが、すばらしくよかった。
いつもミュージカル作品に出ていて、歌舞伎なんかに縁のない市村正親が二代目松本幸四郎(のちの團十郎)を演じていたが、最初はまるでさまになってなかったのが、不思議なもので見ているうちに歌舞伎役者の顔と演技になっていった。演じているうちに自然と役はつくられていくものなのだろうか。役者としての力があるからこそできるんだろうが。
尾上松也が初代尾上菊五郎役で出ていたが、三枚目を演じていたのは史実によるものなのか。菊五郎と同じ音羽屋で、父は松助。初代尾上松助は初代尾上菊五郎の門人だったというから、縁のある役だった。
定九郎に斬られるためだけの、たった1、2分の出番に笹野高史がジイサン役で出演。亡くなった勘三郎のコクーン歌舞伎以来の付き合いで、うれしい友情出演だ。
女房のお岸役の上白石萌音が好演。ときにお茶目でかわいくて、しかし不遇の中蔵を励まし、勇気づける役。唄と三味線、本人が実際にうたって弾いてるかどうかわからないが、粋な感じがよく出てて聴き惚れた。
ただし、替え唄でうたってたのは「さのさ節」だったと思うが、「さのさ節」は明治期に流行し芸者衆がうたっていたもの。原型は江戸時代にすでにあったのだろうか?