フランス・ラングドック・ルーションの赤ワイン「カデ・ドック・ピノ・ノワール(CADET DOC PINOT NOIR)2020」
5大シャトーのひとつ、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを所有するバロン・フィリップ社が南仏のラングドック・ルーションで手がけるワイン。
マルセイユから西、地中海に面しスペイン国境に向かって広がるラングドック・ルーションは、クオリティが高く値段も手ごろなワインが多いこともあってフランス最大のワイン輸出産地だとか。
スムースな口当たりで、みずみずしい酸味が心地よいワイン。
ワインの友で観たのは、民放のBSで放送していた香港映画「風の輝く朝に」。
1984年の作品。
原題「等待黎明」
監督レオン・ポーチ、出演チョウ・ムンファ、イップ・トン、アレックス・マンほか。
太平洋戦争における日本軍侵攻下の香港を舞台に、3人の男女の愛と友情を描くドラマ。
日本の中国侵略により香港侵攻が差し迫る中、香港を脱出してオーストラリアへの密航を企て失敗したフェイ(チョウ・ユンファ)は、米屋の日雇い仕事でカン(アレックス・マン)という青年と出会う。彼には幼なじみの米商人の娘ナン(イップ・トン)という恋人がいたが、彼女の父は2人の結婚に反対していた。
3人の間には友情が芽生え、やがて3人で内地へ渡ろうとした日、香港は日本軍によって陥落し、彼らは香港に残ることを余儀なくされる・・・。
日本軍の占領下、3人の若い男女の間には友情とともに切ない愛も育まれていく。
フェイとカンは男同士の友情。カンとナンは結婚を約束し合う仲だが、フェイはナンを友だちの恋人なのだから好きになってはいけないと知りつつ愛するようになり、ナンもまたカンへの後ろめたさを感じつつフェイを慕うようになってしまう。
ドロドロしたものではなく、淡く切ない三角関係・・・。
そんなきらめくような3人の関係を打ち砕くのが、日本軍の侵攻であり、占領軍となった日本軍は住民たちから平和を奪い、暮らしを奪い、3人の青春までも奪っていく。
今年の12月8日は太平洋戦争の開戦からちょうど80年。アメリカ・ハワイの真珠湾を日本軍が奇襲作戦によって攻撃したのが最初で、それから太平洋戦争が始まった、ということになっている。
しかし、実際には真珠湾攻撃より1時間も前に日本陸軍がマレー半島の英領コタバルに敵前上陸して英軍と戦っていて、これが最初だった(マレー半島コタバル上陸が日本時間8日午前2時15分、ハワイ真珠湾のアメリカ太平洋艦隊攻撃が日本時間午前3時19分、ハワイ時間7日午前7時49分)。
香港でも8日早朝、航空機による英軍の基地への攻撃が行われている。このときの開戦命令の電文は「ハナサク・ハナサク」という暗号だったという。
だから真珠湾とアジアの両方での奇襲攻撃から始まったとするのが正しく、すでにその前に満州事変や日中戦争は始まっているのだから、太平洋戦争は正しくはアジア太平洋戦争なのだ。
同日、陸上からも侵攻を開始し、九龍半島を占領後、開戦から2週間あまりのちの25日には英軍は白旗を揚げ、香港島を占領している。
そんな時代を描いたのが本作。邦題は「風の輝く朝に」と何やらさわやかで美しげだが、原題の「等待黎明」とは、「等待」は「待つこと」で「黎明」は「夜明け」だから、「夜明けを待っている」という意味で、戦争が終わり平和が訪れて3人が青春を取り戻す日を待っている、ということだろうか。
1994年の作品。
原題「THE ADVENTURES OF PRISCILLA, QUEEN OF THE DESERT」
監督・脚本ステファン・エリオット、出演テレンス・スタンプ、ヒューゴ・ウィービング、ガイ・ピアースほか。
シドニーに住む3人のドラッグ・クイーン(drag queen、女性の姿で行うパフォーマンスの一種で、ゲイのパフォーマーが派手なメイクと女装でステージで踊ったり口パクをしたりするパフォーマンスが定番という)が、オーストラリア大陸の砂漠の真ん中にあるアリススプリングのホテルで開かれるショーに出るため、オンボロバスの「プリシラ号」に乗って3000㎞の旅をするロードムービー。
旅をするのは、老年にさしかかるも誇り高き性転換者バーナデット(テレンス・スタンプ)、かつて結婚し子どももいるバイセクシュアルのミッチ(ヒューゴ・ウィービング)、見た目は肉体派だがオネエキャラ満開の若く騒々しいフェリシア(ガイ・ピアース)の3人。
歌あり踊りあり笑いありの旅の中で、さまざまな出会い、別れ、挫折を通して、自分らしく生きることの大切さを教えてくれる。
男っぽさがムンムンと思っていたテレンス・スタンプが性転換した女性役をするというのでびっくり。本人も、オファーがきたときはかなり難色を示したというが、出演が決まると、ほかの2人と違って見た目も女性的という役柄のため胸を大きくする手術を受けて撮影に臨んだという。
たしかにヒゲをそって化粧すると、なかなか美しい顔をしていた。
見ていて気になったのは字幕でしきりに「女言葉」が出ていたこと。「~よねー」とか「~だわ」とかいってたが、外国のLGBTの人たちもやっぱり「オネエ言葉」を使うんだろうか?