善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

きのうのワイン+「父親たちの星条旗」

フランス・ボルドーの赤ワイン「シャトー・フォンボンヌ(CHATEAU FONTBONNE)2012」
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ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニョン50%、メルロー30%、カベルネ・フラン20%。
なかなか華やかな味。

熊本みやげの馬刺しとともに味わう。
地震からの復興は徐々にではあるが進んでいるようで、こうして馬刺しも食べられる。
パッケージを見ると原産地はカナダで熊本で飼育とある。

昔はこんな表示はなかったが、より厳格になってきたのだろう。
熊本名物の馬刺しだが、実は「熊本産」と表示できる熊本生まれの馬は年間200頭もいないんだとか。
そこでカナダなど外国からの輸入馬と北海道のばんえい競馬から流れてきた馬を熊本で一定期間飼育したあと「熊本馬刺し」として販売しているという。
ということは生きたまま航空機か船で運んできて育てているのだろう。

ワインと馬刺しの友で観たのはNHKBSで放送のアメリカ映画「父親たちの星条旗」。
2006年公開で、監督はクリント・イーストウッド
原題「Flags of Our Fathers」。
日本側の視点で描いた「硫黄島からの手紙」とセットでつくられた。

「父親たち・・・」のほうは、摺鉢山に星条旗を掲げる米兵の写真が米政府のプロパガンダに利用されるという、知られざる一面を描いた作品。

原題では「Flags」と複数形になっているが、たしかに、実は旗は2回掲げられた。
最初に星条旗が掲げられたとき、上陸部隊のおエライさんが「あの旗はワシが記念にもらおう」と言ったのを聞きつけた実働部隊の兵士が「あれはオレたちの旗だ」といって最初に掲げられた記念すべき旗を自分たち用に回収し、おエライさん用にはもう1回、別の旗を掲げたのだった。その2回目の旗の掲揚を従軍カメラマンが撮影し、世界的なニュースとなった。

で、映画の主人公も2回目の旗を掲げた6人の兵士のうちの生き残った3人となったが、特に物語で主要な役割を果たしていた兵士は、実際には写真には写っていなかったことが最近、判明した。

海兵隊が大戦当時の映像や兵士の証言などをもとに再調査した結果、6人のうちジョン・ブラッドリー海軍衛生下士官とされていた人物が、実際にはハロルド・シュルツ一等兵だと確認したという。
ブラッドリー氏は写真が撮られる数時間前に行われた最初の星条旗掲揚には加わったが、2回目の6人には含まれていなかった。

となると映画のほうもややこしいことなるが、まあフィクションだからいいか。

最後の方で、星条旗を掲げる写真に写ったおかげで「英雄」に祭り上げられた米兵(まさにジョン・ブラッドリー)の息子が語るシーンがある。こんな意味のことを言っていた。

「この戦いにヒーローはいなかった。みな父と同じ普通の人間だ。なぜヒーローと呼ばれるのが嫌だったのか分かる」
「英雄とは人間が必要にかられてつくられるものだ。そうでもしないと命を犠牲にする行為は理解しがたいからだ。父親たちが危険を侵し、傷を負ったのは仲間のためであり、戦いで死ぬのも友のためだ」

イーストウッドがいいたかったことだろう。

戦闘シーンは圧巻だった。
ノルマンディー上陸を描いた「プライベート・ライアン」もすごかったが、あの映画以上のリアルさがあった。モノクロっぽい、早送りの感じの映像が戦争の悲惨さを語っていた。
さすがイーストウッドと一瞬思ったが、「プライベート・ライアン」の監督はスティーヴン・スピルバーグ。彼は「父親たちの星条旗の」共同製作者の1人だったので、いろいろアドバイスしたに違いない。

たしかこの映画のロケは硫黄島でも行われたと聞いたが、まさか爆弾が炸裂する戦闘シーンまでは撮ってないよな、と映画のおわりのクレジットを見ていたら、アイスランドとあった。
硫黄島は火山島で、アイスランドも火山島。硫黄島のような地形の雰囲気を出せる場所として選ばれたのだろう。

映画の最後に、星条旗を掲揚した擂鉢山を上空から俯瞰する静かなシーンがあるが、あれが現地ロケの映像だったのだろう。