善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

新生PARCO劇場の「志の輔らくご」

東京・渋谷のPARCO劇場が新生オープンし、幕開けの"こけら落とし"公演となった「志の輔らくご」を聴きに行く。

 

ロビーには祝いの酒樽と胡蝶蘭がところ狭しと並んでいた。f:id:macchi105:20200131102933j:plain

演目は、「こけら落としの一席」として「ぞろぞろ」、新作落語の「メルシーひな祭り」、仲入りのあと「おめでたい一席」というので「八五郎出世」。しかし、この噺は「妾馬(めかうま)」の後半部分で、八五郎が侍に取り立てられてめでたしめでたしで終わる噺だが、志の輔は"お鶴の一声"で侍への取り立てを断っちゃってるから「八五郎出世せず」が正解で、どこがめでたいんだか。f:id:macchi105:20200131103003j:plain

面白かったのは「杮」と「柿」の違い。

こけら落としの「こけら」はかんな屑の意味で、漢字で書くと「杮」となるが、食べる「柿(カキ)」と字が似ている。というよりそっくり。子細に見ると「こけら」のほうは旁(つくり)の真ん中の棒が上から下まで突き抜けているのだが、食べるカキは「木」を書いて「亠」を書き、その下に「巾」となってちょっと空きがある。

このように本来はまるで違う字なんだがJIS漢字では「柿」という字に統一されてしまっていて、もはや両者の区別は存在しなくなっている。文字をグーンと大きくすると突き抜けてるかちょこっとだけあいてるか区別できるが、そんなことをする人はいない。

だからこれからは、「落とす」は「こけら」、「吊るす」は「カキ」と覚えておいたらどうか、というようなことをいっていた。

 

やっぱり新作の「メルシーひな祭り」が傑作。志の輔本人もいっていたが、彼は落語家を目指す前は演劇青年で、パルコ劇場にはしょっちゅう通っていたという。「メルシーひな祭り」はとくに最後のところなんか演劇的要素満載で、楽しめた。