東海テレビが2018年9月に開局60周年記念番組として東海地方向けに放送した「さよならテレビ」に新たなシーンを加えた映画版をつくり、1月2日から東京の「ポレポレ東中野」で上映されるというので、初日の2日に観に行った。
10時の第1回上映開始の50分ぐらい前に到着したが、すでに長い列ができていて、寒さに震える人たちを見かねてか、早めに会場に入れてくれた(それでこそポレポレ。エライぞ、ポレポレ東中野)。上映開始時には満員となり、補助席が設けられるほど。
10時開始の第1回は男性が多く、年齢もけっこう上の人が多い感じだった。1回目が終わって外に出ると次の回の人たちがすでにたくさん並んでいて、こちらは比較的若い人が多いようだった。
自社の報道部にカメラを向け、そこでの葛藤や矛盾、戸惑いを赤裸々に映し出し、今、テレビの現場で何が起きているのかを明らかにしようとしたドキュメンタリー。
視聴率至上主義はドラマやバラエティー番組ではあっても、ニュース番組ではそれほどないのではと思っていたが、やはりここでも視聴率の上がったり下がったりに一喜一憂していた。そうなってくると、ただ漫然とその日のニュースを流しているだけではだめで、「おもしろいニュース」「視聴者が見たくなるニュース」が優先され、「暗くて地味なニュース」は追いやられていくのだろうか。
非正規社員の問題もクローズアップされていた。しかも第一線の報道記者も簡単に契約打ち切り、クビが可能な非正規社員が増えているという。記者も使い捨て時代なのか。
驚いたのは社内の講習会か何かでの講師の次のような発言だった。
あと何年後かには紙の新聞はなくなるだろう、今やテレビのニュースを見ているのは60歳以降の年寄りばかりだ、というようなことを言っていた。
そういえば最近読んだニューヨークを舞台にしミステリー小説で、飼いネコがつかまえたネズミを捨てにいくシーンがあって、「古新聞はあるかな?」と聞かれて「今どき、新聞を取ってる家なんてあるの?」と答える場面があった。
ニューヨーク同様、やがて日本もそうなるのだろうか(すでに若い人なんかはそうなっている感じもするが)。
さらに、今どき家でテレビを見てるのは年寄りばかりだという。
実際、映画では、比較的若手のキャスター(アナウンサー)が、年寄り向けをねらう局の意向で中年のキャスターに変更されるシーンがあった。
とにかくいろいろと考えさせられる映画だった。