金曜日朝の善福寺公園は快晴。何日ぶりかのいい天気。気温も低く、手がかじかみ、吐く息が白い。
カワセミは元気にエサ獲り。
虎視眈々と小魚をねらっている。
散歩の途中で足を止めただけなのに、短い時間に2度ほどダイブしていずれも成功。
それでもまだ食べたらないのだろう、次の獲物をねらっていた。
秋というよりもう冬の気配となってきて、遅れちゃいけないと急激に紅葉が進んでいる。
ところで紅葉といえばカエデとモミジ。両者に違いはあるのだろうか?
園芸の世界では、葉っぱの切れ込みが深く数が多いものをモミジ、浅く少ないものをカエデと呼んでいるというが、植物学ではカエデとモミジは同じ意味なんだそうだ。
イロハモミジはイロハカエデとも呼ばれる。なぜならカエデ即ちモミジだからだ。
カエデの中で特に紅葉の美しいのをモミジと呼ぶ、という説もあるらしい。
ちなみに英語ではカエデもモミジも「メープル」だ。
カエデと聞くとカナダのメープルシロップを連想する。カエデの樹液を煮詰めてつくった甘い液体。カエデの樹液には糖分が含まれているので、樹液を濃縮させればより糖度の高いものになるというわけだ。
なぜカエデは糖分を含む樹液をつくり出すのか?
1つは、糖は不凍液としての働きを持っているのだという。
温帯以北に生息する植物の場合、体内に氷ができてしまうことが避けられない。それでも、細胞の中は凍らせないという仕組みを植物は持っていて、細胞の中には糖をはじめイオン、有機酸、アミノ酸などが溶けていて細胞の外より浸透濃度が高くなっているため、簡単には凍結しないという。
もう1つ、植物が冬眠からさめたあと、再び活動を開始するときに糖が大きな役割を果たしているのだという。
早春のころ、冬眠状態のカエデは幹に蓄えたデンプンを糖に変えて、水分を流れやすくして根から吸い上げた大量の水を樹木全体に行き渡らせ、芽吹きの準備をする。だから、カエデの樹液の糖度が最も高くなるのは2月から3月ごろなのだそうだ。
それなら、身近にあるカエデから甘い樹液が得られメープルシロップができのかというとそうは問屋が卸さない。
カナダのメープルシロップはサトウカエデと呼ばれる糖度の高い樹種から得られるという。北アメリカ原産で、日本ではあまりみられない。
日本のカエデといえば、イロハカエデ、イタヤカエデなどが知られるが、これらのカエデからメープルシロップをつくったという話は聞いたことがない。
ところが、そんな日本でもイタヤカエデからメープルシロップをつくって売っているところがあるという。
埼玉県秩父市のNPO法人「秩父百年の森」は、10年ほど前から地域活性化事業として自生しているカエデから樹液を採取する取り組みを山の持ち主たちと行っているという。樹種はイタヤカエデ、オオモミジ、ウリハダカエデ、ヒナウチワカエデなどで、カナダとは異なる樹種だ。
北海道でも同様の取り組みが行われていて、イタヤカエデの樹液が出始める3月初めごから採取が行われ、糖度は2%程度(3月末には1%程度に減る)。
カナダのサトウカエデの樹液の糖度は3~4%とイタヤカエデの倍以上の糖度があるというから、日本でメープルシロップをつくるのはカナダのカエデよりもかなり手間はかかる。それでも、日本のカエデのメープルシロップは樹液中のミネラル、特にカルシウム、カリウムに富んでいるので、本場のカナダとはまた違った味わいがあるという。
カエデの下にハクセキレイ。