善福寺公園めぐり

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激しい銃撃戦と美しい風景 荒野の誓い

6日に日本での公開が始まったばかりのアメリカ映画「荒野の誓い」を観る。

2017年製作の西部劇だが、なかなかよかった。

 

原題は「Hostiles」。

監督スコット・クーパー、出演クリスチャン・ベールロザムンド・パイクウェス・ステューディほか。

 

原題が「Hostiles」(日本語に訳すと「敵意」といった意味か)とあるとおり、インディアン戦争と呼ばれる白人入植者による先住民地域征服戦争の英雄である騎兵隊大尉(クリスチャン・ベール)が、それまで敵対していたシャイアン属の酋長イエロー・ホーク(ウェス・テテューディ)とその家族を、意に反して部族の居留地であるモンタナへ送り届ける旅の物語。かつては先住民(インディアン)を憎み、彼らと戦い、殺戮もしてきた男(クリスチャン・ベール)の、心の葛藤を描いた作品といえようか。

その葛藤を通して、大陸からやってきた白人が元々住んでいた地域から先住民をジェノサイドによって追い出し、それによって国づくりを押し進めていった“アメリカの闇”というか“原罪”を問う映画でもあるだろう。

 

彼はもうすぐ退役する予定でいたが、先住民の言葉を話せるという理由で「大統領令」による護送を命令される。最初は断るが、命令に従わなければ軍法会議にかけられ年金ももらえなくなるとおどされ、嫌々ながらも引き受ける。

途中、コマンチ族の強盗団に家族を惨殺された女性(ロザムンド・パイク)も加わって、危機的状況を乗り越えながらモンタナをめざすうち、次第に酋長イエロー・ホークと心を通わせるようになっていく。

 

激しい銃撃戦がすさまじく、リアリティがある。

イエロー・ホークとその家族を護送するため、騎兵隊5人、イエロー・ホークとその家族も5人ぐらいで合計10人ほどで出発し、途中、家族を殺された女性(ロザムンド・パイク)も加わった旅が、最後に生き残ったのはたった3人という結末。

もちろん次々とやってくる敵もたくさん殺される。

 

それでも見ていて癒されるのは、クリスチャン・ベールの心の闇に次第に光が差し込んでいく物語の展開とともに、旅をする人々をロングショットでとらえたり、行く先々の自然を映し出す映像があまりに美しいからだ。

撮影監督はマサノブ・タカヤナギという日本人だという。

 

映画の最後のシーンに、ホッと救われる思いがした。