スペイン・カタルーニャの赤ワイン「サングレ・デ・トロ・オリジナル(SANGRE DE TORO ORIGINAL)2017」
スペインのバルセロナの近郊、ペネデス地方でワインを造り続けて140年以上という長い歴史を持つワイナリー、トーレスの赤ワイン。
ガルナッチャ(グルナッシュ)とカリニェーナ(カリニャン)を使用。深いルビーの色合いで、ほどよいタンニン、バランスのよいミディアムボディ。
ついでにその前に飲んだのはアルゼンチンの赤ワイン「コレクシオン・マルベック(COLECCION MALBEC)2018」
ワイナリーのボデガ・ノートンは、アルゼンチンの中でも「太陽とワインの州」といわれるメンドーサ州でワイン造りを行っているんだとか。この地方は1年のほとんどが晴天で、昼夜の寒暖差が大きく、それゆえに質の高いブドウが収穫されるという。
その上、1年を通じて乾燥した気候なので病害虫も発生せず、除草剤や殺虫剤の必要がない、つまり自然とオーガニックのワインが作られるんだとか。
マルベック100%でフルーティーな味わい。
ワインの友で観たのは先日NHKBSで放送していた日本映画「十三人の刺客」。
1963年(昭和38年)の時代劇。モノクロ。
監督・工藤栄一、出演・片岡知恵蔵、里見浩太朗、嵐寛寿郎、内田良平、西村晃、水島道太郎、丘さとみ、藤純子、山城新伍、月形龍之介、丹波哲郎ほか、懐かしい顔ぶれ。みんな鬼籍に入って、元気なのは丘さとみと藤純子ぐらいか。ちなみに藤純子(富司純子)は尾上菊之助のお母さん。
池上金男(のちに池宮彰一郎として作家デビュー)がオリジナル・シナリオを執筆したというが、なかなかよくできた話で、見ていてホントにあった話?と思わせるほどの真に迫ったストーリーだった。
暴君として登場する明石藩の藩主・松平斉韶は実在の人物だが、史実では映画のようなエピソードはなかったという。実在の人物を登場させてここまで悪者として描いていいんだろうか、とは思うが・・・。
弘化元年(1844年)、明石藩の藩主・松平斉韶の暴君ぶりは幕閣まで聞こえていた。ところが、将軍・家慶の弟であるため厳しい処置もできずに頭を悩ましていたところ、将軍が斉韶を老中に抜擢する意向を示したことから、ついに暗殺することを決意する。
御目付役島田新左衛門(片岡知恵蔵)に命が下り、残り11人の仲間を集めた(のちに暗殺現場近くの若者で郷士である山城新伍が加わり合計13人)。暗殺の場は参勤交代の帰国途中にある中山道・落合宿。綿密に練られた計画であったが、松平斉韶には切れ者の側用人(内田良平)が控えていた……。
この作品、2010年にリメイクされ、三池崇史監督、役所広司主演で再び映画化されているが、テクニックではリメイク版が勝っているかもしれないが、映画としてはオリジナル版のほうがはるかにいい。
時代背景で見ると、黒澤明監督の「七人の侍」が公開されたのが1954年(昭和29年)。黒澤明の影響も多少受けている感じで、刺客の一人、西村晃なんかは「七人の侍」で宮口精二が演じた凄腕の剣客にどこか似ている。
ところが、西村晃の剣客は宮口精二のようにカッコよく死ぬのではなく、刀が折れしまって逆に逃げまどい、バカ殿・松平斉韶のおつきで狂ったように切りつける侍の刃にあっけなくやられ、口から血を吐いて無残な死に方をする。
そして、映画の最後はその狂って生き延びた男がカカと笑う姿をズームアウトして終わるのだった。
「十三人の刺客」は明らかに同じころに作られた小林正樹監督の「切腹」(1962年)や今井正監督の「武士道残酷物語」(1963年)の影響を受けている。「武士道残酷物語」も「十三人の刺客」も同じ東映作品だが、前者が4月公開に対して後者は12月公開。「切腹」も「武士道残酷物語」も武士の“カッコよさ”を描くのではなく、封建社会の残酷さ、非情さを描くものだった。
リメイク版にはそんな視点はなかった。
映画が作られた時代が違う、といわれればそれまでだが、映画はただ娯楽作品でいい、おもしろければいい、ともいえないと思うのだが。