善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

73億人が一斉にジャンプすると何が起こるか

ランドール・マンロー『ホワット・イフ?』(吉田三知世訳・早川書房)。
ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに34週連続ランクインした本という。元NASAの研究者が、あらゆる突拍子もない疑問に対して科学的立場から答えている。

読んでておもしろかったのが次の質問。
「質問 地球にいるすべての人間ができる限りくっつきあって立ってジャンプし、全員同時に地面に降りたら、どんなことが起こりますか?」

この質問に対する答え。
著者によれば、地球上の人間全員(約73億人)を集めるとロードアイランド州ぐらいの広さの場所を占めるという。
実際にロードアイランドに集まったとして、正午の時報と同時に全員がジャンプする。
全員がジャンプしても地球にはほとんど何の影響もない。
地球は人間全員を合わせたよりも10兆倍も重いからだ。
次の瞬間、全員が地面に戻っても、せいぜい足跡がつくくらいなもの。
問題はそのあと。
ロードアイランドの空港が通常の500%で動いても集まった人間の集団の一部が目に見えて縮小することはない。
ロードアイランドの50万台の自動車が略奪され、史上最大の交通渋滞が起きる。
人々の大部分は歩いて州越えをめざすが言葉は互いにわからず秩序は崩壊している。
取り締まる警官も渋滞のただ中にいる。
数週間のうちにロードアイランドは数10億人の死者で埋まる。
生き残った人間は世界中に散らばり、古い文明が崩壊し新しい文明をつくろうと苦闘するが人口は激減する。
しかし、少なくとも人類は、人間全員が一度にジャンプしても地球の回転はまったく変わらないことを学ぶ。

ほかにも「光速の90%の剛速球をバッターに投げたらどうなるか?」とか「人類総がかりでレーザーポインターで照らしたら月の色は変わるか?」、「お茶を必死にかき回したら沸騰させられるか?」などトンデモない質問にマジメに答えている。

ちなみにレーザーポンインターの質問では、月の半分が真っ暗な半月のときに、アジアの表面全体にわたってメガワット・レーザーを1㎡に1台ずつ、計50兆個を設置してビームを当てると、月は真っ暗な部分も光り輝き、満月のようになるという。
そのかわり、これに電力供給するには世界の石油備蓄を約2分で使い切ることになるという。
さらに筆者は、地球上に存在するもっとも強力なレーザーである核融合方式のビームを使ったらどうなるか、という荒唐無稽の極みのようなことも回答しているが、その結論は「人類は滅亡し、月も猛スピードで宇宙へと飛んでいってしまう」というものだった。