善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

三月大歌舞伎 雀右衛門襲名公演

きのうは歌舞伎座で「中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露 三月大歌舞伎」夜の部を観る。
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幕も特別誂だった。
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演目は「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)角力場」「襲名披露口上」「祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)金閣寺」「関三奴(せきさんやっこ)」
五代目を襲名した雀右衛門が「金閣寺」で“三姫”の大役の1つ、雪姫を演じる。

いつもは1等席の前の方で見るのだが、試しに3階席の前から2番目の席で観た。
全体の動きはよく分かるが、表情はよく分からない。オペラグラスが必携と分かった。
花道寄りだったので七三のあたりはよく見えたが、ひっこみはまるで視覚外。
それでも料金の割にはおもしろく見えた。何しろ1等席1万9000円に対してこちらは6000円。
ただし、3階席は2列目までだなー。

また、1階の前の方の席は臨場感があふれ、自分も芝居に参加している気分になるが、3階席は何だか客観的に芝居をみている感じになる。それはそれでひとつの見方とは思う。

おもしろかったのは、上からみているのでいろいろ発見があったこと。
歌舞伎の襲名口上をはじめてみたが、上からみてもなかなか壮観。1列に19人の役者さんが並んで、向かって左から中村吉右衛門片岡我當中村東蔵中村鴈治郎中村橋之助中村時蔵尾上松緑大谷友右衛門松本幸四郎芝雀改め五代目中村雀右衛門坂田藤十郎片岡仁左衛門片岡秀太郎中村歌六中村扇雀中村又五郎中村魁春中村梅玉尾上菊五郎とそうそうたる顔ぶれ。
しかし、幹部と若手では微妙に座る位置が違っていて、橋之助松緑は多少ひざを後ろに置いていた。
同じ若手でも松緑は出て菊之助は出てなかったが、松緑は親戚なので優先されたのだろうか。

上からみていたので、「金閣寺」で、松永大膳(幸四郎)が井戸の中に投げ込んだ碁笥(ごけ)を此下東吉(仁左衛門)が手を濡らさずにすくい上げる「碁立て」と呼ばれる場面で、その仕掛けがよくわかった。
また、サクラの花びらが降りしきる中、雪姫が爪先で花びらを集めてネズミを描く場面もよく見えた。着物のすそからのびる足の指先を見たいとオペラグラスを構えたが、雪姫はあえて指先はみせなかった。
やっぱりお姫さまだから、そういう艶かしく映るような演技はしなかったのだろう。