善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

照井翠さんの俳句

きのうの朝日夕刊の文芸欄で、照井翠という俳人の「みちのく」と題する作品が心に突き刺さった。
照井さんは釜石市在住の高校教師だという。
11日であれから5年がたつ。

春の底磔(はりつけ)のまま漂流す

流されて流れ着かざる春の海

大切のしら骨のもう海のもの

埴輪(はにわ)より暗き瞳や春の月

ふきのたう賽(さい)の河原の泥童(わらは)

春の泥しづかにまなこ見開かる

震災五年時は薬よ毒入りの

三月の針ばらばらに指されをり

堰(せ)き止めてわたくしは湖(うみ)哀しみの

救へざりしいのちの光犬ふぐり

雛まつり遺影外され伏せらるる

春の星乳の滲(にじ)みのありにけり

釜石は大いなる渦鳥帰る

手も足もなき三月の闇の底

三・一一みちのく今も穢土(えど)辺土