善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

嶋大夫の引退公演

国立劇場2月文楽公演の第2部「八代豊竹嶋大夫引退披露狂言」(15日)。
ファンから贈られたたくさんの花。
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客席は満員。いつもは女性が多いのにオジサンが目立つ。
嶋大夫のファンが駆けつけたのだろう。「嶋大夫っ!」のかけ声が会場のあちこちから飛んでいた。

それにしても引退はさみしい。
あの艶のある、色っぽい声と節回し、体を揺すって全身全霊で語る姿に、舞台以上に見とれたものだ。
昭和23年(1948)にこの世界に入ったというから70年近い芸歴。ただし一度文楽を離れて、12年ほどの空白があり、空白の理由を「芸の壁に負けた」と本人は語っている。
それだけ芸を究めようとする気持ちが強い人だったのだろう。

昨年10月、人間国宝に認定されて、さあこれからもさらにと思っていた矢先の引退。
きのう聴いていても少しも衰えを感じなかったが、本人は限界を悟ったのだろうか。
残念だけどしょうがない。
嶋大夫がいなくなるとこれからの文楽(特に義太夫語り)が心配になるが、中堅・若手の成長に期待しよう。

きのうの演目「桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)鰻谷の段」、嶋大夫引退披露狂言「関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)猪名川内より相撲場の段」
「相撲場の段」ではホントに人形同士が土俵の上で投げ合いを演じ、なかなかおもしろかった。