善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

菊之助の新境地 二月大歌舞伎

きのうは歌舞伎座で「二月大歌舞伎夜の部」を観る。
イメージ 1

イメージ 2

日曜日の夕方なので銀座は大賑わい。でも帰りはさほど人はいなかった。

演目は「ひらかな盛衰記 源太勘当(げんたかんどう)、「籠釣瓶花街酔醒(かごくるべさとのえいざめ)」、「浜松風恋歌(はままつかぜこいのよみびと)」。

何とといっても「籠釣瓶花街酔醒」。
江戸・吉原の花魁・八つ橋と八つ橋に一目惚れした上州佐野次郎左衛門の物語。
明治21年(1888)5月東京千歳座(後の明治座)初演。三世河竹新七作。黙阿弥(二世新七)の弟子。

出演は中村吉右衛門(佐野次郎左衛門)、尾上菊之助(八つ橋)、中村又五郎(下男治六)、中村梅枝(九重)、坂東新悟(七越)、中村米吉(初菊)、坂東彌十郎(釣鐘権八)、中村歌六立花屋長兵衛)、中村魁春立花屋女房おきつ)、尾上菊五郎(繁山栄之丞)ら。

菊之助の八つ橋は、彼が初役で演じた2012年12月の新橋演舞場公演以来。
あのときの八つ橋も美しかったが、今回はさらに美しかったし、芝居もバツグンによかった。
とくに「見初め」の「ほほえみ」のシーン。
今回の演技はおそらく今後の語り種になるだろう。それくらいよかった。
新境地を開く菊之助の演技。観てよかった!

佐野次郎左衛門の吉右衛門も自然な演技で、キメるときはキメて、それにきのうは大向こうからの声もにぎやかで、江戸の情緒を感じる夜だった。
江戸の吉原の風俗がよくわかる、そういう意味でも丁寧な作りの芝居だった。

おやと思ったのが八つ橋から「縁切り」を言い渡されたときの佐野次郎左衛門のセリフ。
「花魁、そりゃァちとそでなかろうぜ」
有名なセリフだが、今は「つれなかろう」というところを昔は「そでなかろう」といっていたようだ。
「袖がない」でつれないということなのだろうか。

「源太勘当」は品のある梅玉の立ち姿とセリフ回しにただうっとりするばかり。

出演は、中村梅玉(梶原源太景季)、片岡孝太郎(腰元千鳥)、片岡市蔵(横須賀軍内)、市村橘太郎(茶道珍斎)、中村錦之助(梶原平次景高)、片岡秀太郎(母延寿)ら。

孝太郎のセリフで、横恋慕する平次を突っぱねるするとき「ピピピのピ」といってたが、台本通りなのだろうか。昔からのセリフなら、なかなか笑える。
悪人3人の「いろは笑い」もおもしろかった。

「浜松風恋歌」は中村時蔵(海女小ふじ)、尾上松緑(船頭此兵衛)の舞踊劇。
小ふじの衣装がスゴかった。烏帽子を付けて下はお姫様の振り袖姿で、その上に腰蓑を付けて汐汲みの海女の格好。
前から4列目の中央に座ったので踊りの細かい動きまでよく見えて、いつも踊りのときは眠くなるのだが、きのうはしっかりと目に焼き付けた。