善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

スキン・コレクター

ジェフリー・ディーヴァー『スキン・コレクター』(池田真紀子訳、文藝春秋)を読む。

ボーン・コレクター』(1997年)に始まるリンカーン・ライム・シリーズの第11作目。今回登場するのは被害者に毒薬でタトゥーを刻んで殺す殺人者。「ボーン・コレクター事件」を研究して犯行を繰り返す犯人の真の狙いは何なのか? 読み進むうちにドンデン返しが次々と起こって、物語は意外な方向に。

本書で「ミリシア(militia=民間武装組織)」の存在が出てくるが、アメリカでは近年、白人至上主義のミリシアが次々とつくられて、いろいろと問題になっているらしい。

そもそもアメリカは、西部劇に「自警団」が出てくるように、市民が自分たちを守るために武装するのが権利として認められている。
憲法修正第2条には「人民の武装権」というのがあって「規律ある民兵(militia)は自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有しまた携帯する権利はこれを侵してはならない」と定められているという。

つまりもともとアメリカには政府から独立したミリシア組織があって、テキサス・レンジャーはそのいい例だという。
この憲法修正2条はまた、国民が自衛のための武器を所持できる根拠ともなっている。
つまりアメリカでは国民の武装の権利が団体としても個人としても認められているのだ。

しかし、1916年に「国民防衛法」が制定され、「ミリシア民兵)」は「州兵」として扱われるようになり、公的な組織となっていった。かわりに民間の間で「市民ミリシア」が組織されるようになり、多くが白人至上主義、国粋主義など右派の武装組織で、何百とあるという。

無差別に人を殺すテロ組織も怖いがこっちも怖い気がした。