善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

消えゆく武蔵小山の飲み屋街

きのうは夕方から再開発計画が進行中の東急目黒線武蔵小山駅前周辺を歩く。
このあたりには立ち飲み、スナック、大衆酒場など昭和の雰囲気を残す店が軒をならべていたが、今、次々と閉店していて、火が消えたようになっている。それもそのはず、11月には解体がスタートするというので、今月中にはすべての店が閉店するようだ。

そのあとにできるのは、高さ41階というマンション付きの超高層ビルだという。
再開発計画のの正式名は「武蔵小山パルム駅前地区第一種市街地再開発事業」といって、事業主は東京都都市整備局。古い建物が隙間なく建ち並ぶ飲み屋街を一掃して、災害に強い都市をつくる計画の一環という。

わずかに残った店を巡る。
ただしカメラを忘れたので写真はなし。
1軒目は駅の目の前にある立ち飲みヤキトリ屋「鳥勇」。常温の日本酒を飲みながら、皮、ヒナ肉などをつまむ。置いてあるのを適当に取って、自分でタレにくぐらせて(2度漬け禁止)かぶりつく。

昭和元年創業というから90年近い歴史があるが、今月中に閉店するという。
ここはカップ酒1杯で切り上げて、ブラリ歩いていくと、牛豚モツ卸問屋の看板があり、何人かの客が取り巻いている。
「みやこや」という店で、焼きたてのもつ焼きを売るコーナーがあって、持ち帰りの客だけでなく、その場で食べるのもオーケーというので、2、3本食べる。1本80円。バカ安だけどうまい。ただし酒はなし。

3軒目は創業70年というすし屋。ここでは熱燗を注文。刺身の盛り合わせを頼むが、シメサバの味にがっかりして早々に席を立つ。

4軒目は「珉珉」という餃子の店。ここも数日中に閉店の予定という。
ビールのあとは紹興酒
手羽があっさり味でうまい。
店のオヤジによると、新しいビルが建ってもそこで店を持つ権利はなく、出て行くだけという。
新しい店をどうするか、いまだ未定なのだとか。
せちがらい世の中ということなのか。

昭和の雰囲気を残すこの空気感が大事なのに、再開発という名の怪物は、古い建物も、そこにいる人間も、カウンターに染みついた汚れも含めて、丸ごとかき消してしまう。
それが本当にいいことなのか、酔っぱらいながらも考えてしまった夜だった。