善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

鉄腕アトムの歌が聞こえる

橋本一郎鉄腕アトムの歌が聞こえる〜手塚治虫とその時代〜』(少年画報社)を読む。
筆者は元・担当編集者。日本初のテレビアニメ『鉄腕アトム』の主題歌をソノシートにする許可を得ようと、手塚治虫の仕事場を訪ねた昭和38年(1963)からの手塚治虫をめぐる数々のエピソードがおさめられている。

超売れっ子だった手塚の家には原稿の出来上がりを待つ各誌の編集者が詰めかけていて、中には特攻隊の生き残りみたいなのもいて、原稿の順番をめぐって掴み合いのケンカをしたり、常時殺気だった空気が充満していたが、「牢名主」と呼ばれるベテラン編集者が各誌の締め切りをうまい具合に調節していたなど、当時の漫画界の熱気か伝わってくる。

あのころの少年マンガ誌の隆盛ぶりなど、ものすごく懐かしい、いや懐かしすぎるエピソードが充満している本だった。