善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

日本国宝展

上野の東京国立博物館(平成館)で開催中の「日本国宝展」を見る(12月7日まで)。
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25日(火)は本来は休館日なのだが、協賛企業の内覧会の抽選に当たったので出かけていく。おかげでそれほどの混雑はなく、2時間ぐらいかけてじっくりと見る。
1つの展覧会で、見るものがすべて国宝なんてめったにあるもんじゃない。

現在、国宝は1092件あるというが、今回出品されているのはそのうちの119件。「信仰」をテーマに、日本文化の基層である祈りや精神の形成を俯瞰する企画という。

どれもすばらしいが、思いつくままあげていくと──。

玉虫厨子飛鳥時代のものだが意外と大きい。
厨子とは仏像、仏画、舎利、経典などを安置する屋根付きの入れ物をいうが、玉虫厨子は仏堂をそのまま台座にのせたような形になっているのが特徴という。
しかし、より特徴的なのはその名の由来になった玉虫細工。柱や入口部分あたりには虹色の縞模様を見せるため玉虫の羽が入れられていたというが、今は羽が失われてしまったのか、まるでわからない。

地獄草紙。平安時代の作というが、生前に犯した罪業によって堕ちるさまざまな地獄の有様を描いた絵巻物。
糞屎泥地獄に落とされた罪人は沸き立つ糞泥中に首まで浸かり、「針口(しんく)」という鉄虫に骨の髄まで喰い破られるというが、そこに描かれた鉄虫が赤塚不二夫描くところの「ケムンパス」にそっくりなので思わず笑ってしまう。

山越阿弥陀図(鎌倉時代)。
いま臨終しようとする信仰者の前に阿弥陀如来と菩薩たちが西方極楽浄土から迎えに来た場面を描いているというが、とても絵画的で、心休まる阿弥陀図だ。

多聞天立像。平安時代の作で興福寺所蔵。
多聞天が邪鬼を踏んづけて立っているのだが、踏んづけられている邪気もしっかりとポーズをとっていて、なんともいえぬ役者ぶり。

観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像(平安時代、京都・三千院所蔵)。
阿弥陀如来の脇坐像だが、今にも動き出そうとする動的な感じがする。

ほかにも感想を述べたい作品はあまたあるが、とりあえずここまで。

今回は日本書紀万葉集土佐日記日本霊異記今昔物語集なども出品されていて、飽きない。

国宝の土偶5体が勢ぞろいしているのも国宝展だからこそ。

雪舟の「秋冬山水図」も心に残ったが、ことに冬の図。中央にそびえる断崖の輪郭線の力強さ。何度見てもうなるばかりだ。