善福寺公園めぐり

善福寺公園を散歩しての発見や、旅や観劇、ワインの話など

アイルランド旅行記 その10 ライターズ・ティアーズ(作家の涙)

明日は帰国の途へという19日(土)は朝食後、7つの初期キリスト教会群が残る「グレンダーロッホ」へ。

ダブリンの市街地から南のウイックロウ山脈の懐へと入っていく。
グレンダーロッホのグレンダーはゲール語で「V字谷」、ロッホは「湖」の意味で、2つの湖にはさまれた谷をあらわす。

西海岸では岩だらけの荒涼とした風景ばかり見てきたが、アイルランドにもこんな緑深い場所がある。
まるで鼻の長いゾウさんみたいな木。
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苔むした森のなかからは妖精が出てきそう。
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修道院跡。屋根まで石造りは珍しい。
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地元の人たちのお祭りかなんかがあって、ここでもヨガが人気のよう。
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午後からフリータイム。
ナショナルギャラリーで名画を堪能。
通りに面した場所にあり、入口は看板もなくそっけない感じ。日本の美術館のようにエラぶってないところがいい。(あとで調べたらガイドブックで見ると正面入口はやっぱり立派。すると通りに面した入口は裏口か?)
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ベラスケス『ラ・ムラタ』
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ブリューゲル『農民の結婚式』
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フェルメール『手紙を書く婦人と召使』(フェルメールが新機軸を試みたというので有名な作品)
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ゴヤ『アントニア・サラテ』(部分)
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ナショナル・ギャラリーのそばにあるウイスキーとワインが所狭しと並んでいる酒屋でアイリッシュウイスキーを品定め。
「オススメのアイリッシュウイスキーは?」と聞くと、店のオヤジが勧めてくれたのは、アイリッシュウイスキーモルトが入ったバーボンだった。
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ダブリンに来てバーボンはないだろう、と買ったのが、「ライターズ・ティアーズ(WRITERS TEARS)」(作家の涙)というアイリッシュウイスキー。700㎖、40度。値段もそこそこするが、いかにも文学の国アイルランドらしくて、その名前にひかれた。
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箱の裏にはこんな意味の文言があった。

アイルランドの作家はWriters’ block(作家の壁、スランプの意味か?)に苦しめられると、命の水、すなわちウイスキーに慰められ、インスピレーションを得てきた。作家が泣くとき、ウイスキーの涙を流すといわれる」

なかなか粋なことをいうじゃないか。

続いて行ったのが、ダブリン城の隣(あるいは敷地内?)にあるチェスター・ビーティー・ライブラリー。
チェスター・ビーティーは1875年に米国のニューヨークで生まれ、鉱山関係の仕事で若くして巨万の富を築き、その後は美術品の収集に生涯をかける。1968年に92歳で亡くなったが、彼のコレクションを集めたのがこのライブラリー。入場無料。
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パピルスに書かれた聖書から始まって、古いコーランや、中世の写本、日本の源氏物語絵巻や、北斎・広重といった浮世絵など、収集品は数知れず。その証拠に、行ったときはちょうどAからZまでをキーワードにした展覧会をやっていた(たとえばNは日本の「能」とか)。つまりはそれだけ見せるものが多いということ。
ただし、日本のは江戸時代以降のものが多いようで、源氏物語絵巻平安時代のホンモノだったらえらいことになる。

そのあとは、せっかくアイルランドにきたのだからとパブのハシゴ。(パブ巡りについては次回の最終回に続く)

注記・ところでアイルランド旅行記の「その5」で、コリブ湖クルーズの船上でアコーディオン弾きのオジサンがうたった曲を「マリー・アローン」と書いたら、「モリー・マローン」ではないか?とのご指摘をいただいた。一緒にいた添乗員さんがそう訳してくれたのをそのまま引用したのだが、たしかに「モリー・マローン」の聞き間違いに違いない。「モリー・マローン」はアイルランドの有名な曲らしく、オジサンが観光客に歌ってくれたのもうなずける。おわびして訂正します。